七月七日にわたしたちは出会った。
京都での学生生活も4年目。主人公の花は思いがけないことをきっかけに、
友人のアリサから合コンに誘われる。
三条木屋町の店にひとり遅れて現れた男子は、
その場にそぐわない一風変わった雰囲気の持ち主だった。
名前は龍彦だという。「たっくんて呼んでいい?」「いいよ」。
文学部で数学嫌いの花にとって、理学部数学科のたっくんは謎に満ちていて、
また彼の暮らす学生寮の友人たちもどこかキテレツな理系男子で、
花はこれまで経験しなかった不可思議で
にぎやかなキャンパスライフを送ることになるのだが……。
いま注目の若手女性作家・瀧羽麻子が、
京都を舞台にのびやかに描いた青春キャンパス・ラブストーリー。
主人公の花は東京出身。京都一人住まい4回生で就職は東京に決まっています。
恋人「瀧彦」ことたっくんは同じく4回生で、理学部数学科のおんぼろ寮住まい。
数学に哲学するストイックな面をもち合わせている純情な男子。
この二人を中心に進んでいく、純情恋愛小説です。
たっくんの天然ぶりにアタフタする花ちゃん、胸キュンという言葉がピッタリ。
周りの登場人物がこれまた嫌味じゃなく個性的で、ほほえましくなる人たち。
主人公の花をはじめ、登場人物の誰もがいきいきと描かれていて魅力的です。
たっくんが住む男子寮の仲間たち、一癖も二癖もある、理科系男子たちの雰囲気も
すごく楽しそうでした。花ちゃんみたいに、男子寮に遊びに行ってみたいです。
特に、恋人の周りを飾る男子理学部の面々、ヤマネくんとアンドウくん。
すごく仲良しの理系コンビで、このキャラクター造形が秀逸。
二人はオタクなんだけれど憎めない好いやつなんです。
物語の前半と後半で、同じ4人の人物が花火をするシーン。
花火をしながら交わす会話の内容、主人公の胸の内、
出会った頃と大学卒業を間近に控えた4人のやりとりの変化に注目。
約半年間のタイムラグで、すべてがみごとに成長のあかしになっているようでした。
恋愛だけじゃない、大人になる前の時間の楽しさや愛おしさ、儚さを思い出す小説。
こんな大学生やりたかったなあって思いました。
学生のあいだに味わうむず痒さ、バカバカしいけど仲間と一緒にやれば
なんでも楽しく騒いじゃうというところに共感しちゃいました。
このままの自分でいいのかとか、何がしたいのか不安がある人にオススメの作品。
「左京区七夕通東入ル」瀧羽麻子さんのラストがとても心地良い純情恋愛小説です。


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「左京区七夕通東入ル」瀧羽麻子
「左京区七夕通東入ル」(小学館文庫)瀧羽麻子
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