梶原33歳●仕事は多重債務者の借財の整理。
謄本の代理人申請のために訪れた市役所の戸籍係の女を一目見た瞬間、声を失った。
弘樹20歳●バーで女がチンピラに絡まれて目の前で転んだ。
助け起こした瞬間、女の顔に釘付けになった。
和田34歳●勤務先の交番の前の市役所に自転車で通う女。
既婚者のくせに俺はいつもその女を探している――。
化粧もしない。服も地味。美人でもないその女・
恭子に3人の男たちは、どうしようもなく魅かれていく。
一方恭子は男たちの求愛を受け、3人と付き合い始める。
接点のない3人だが、それぞれに思う、恭子は不思議な女だ。
決してモノを欲しがらない。故郷や家族のことは話さない。
会っている時間以外のことは未知。でも魅かれる。
理由は何だ、いったいこの女の過去には何があるのか……。
3人の男たちの視点を通して、恭子というなぞの女の正体が焙り出されていく。
人と人との繋がりの意味を問う著者渾身の挑戦作。
独特の雰囲気を身にまとう女と、彼女に魅了された3人の男たちが繰り広げる物語です。
垣根さんのジェットコースターのように展開する他の作品とはかなり毛色が違います。
サスペンスや暴力の色合いはあまり強くないです。静かに話は展開していきます。
どちらかというと全体的にジメジメとした暗さがあって、面白い本ではないです。
一風変わった女性、恭子の中身が最後までわからないので、感情移入もしにくいです。
そして最後の場面では全てを書ききることなく筆が置かれています。
不思議な余韻を感じさせる終わり方で、読後救われる部分はありました。
「月は怒らない」垣根涼介さんの、好みでは残念な一冊。次回作に期待したいです。

楽天からも購入できます。

「月は怒らない」垣根涼介
- http://1iki.blog19.fc2.com/tb.php/2143-a4169051
トラックバック
著者:垣根涼介
月は怒らない(2011/06/03)垣根 涼介商品詳細を見る
多重債務者の債務整理で食べる男・梶原。大学生の弘樹。妻と上手くいっていない警察官・和田。それぞれが、それぞ...
垣根涼介さんの『月は怒らない』を読んでみました。待望の垣根作品をドキドキしながら読んだんですが、何度も表紙の作者名を確認したのは苦笑いだ。道尾秀介じゃないのか、もしかし...
月は怒らない
【単行本】
3人の男を魅了する不思議なオーラを持つ女
果たして、その関係はどうなるのか...
三章からなる
一章 遊星 ・・・ 三人との出会いを描く
二章 日輪 ・・
月は怒らない
垣根 涼介
集英社
発売日:2011-06-03
ブクログでレビューを見る»
作品の紹介 *** Google ブック検索より ***多重債務者の借財の整理が生業。 仕事で訪れた市役...
コメントの投稿