衝撃的感動!芥川賞受賞後初の傑作長篇。
「苛められ暴力を受け、なぜ僕はそれに従うことしかできないのか」
頬を濡らすあてのない涙。
14歳の苛めを正面から描き、生の意味を問う、哀しくも美しい物語。
「僕とコジマの友情は永遠に続くはずだった。
もし彼らが僕たちを放っておいてくれたなら―」
驚愕と衝撃、圧倒的感動。涙がとめどなく流れる―。
善悪の根源を問う、著者初の長篇小説。
“わたしたちは仲間です”―十四歳のある日、
同級生からの苛めに耐える“僕”は、差出人不明の手紙を受け取る。
苛められる者同士が育んだ密やかで無垢な関係はしかし、奇妙に変容していく。
葛藤の末に選んだ世界で、僕が見たものとは。
善悪や強弱といった価値観の根源を問い、圧倒的な反響を得た著者の新境地。
芸術選奨文部科学大臣新人賞・紫式部文学賞ダブル受賞。
川上さんが普通の文体で、いじめをテーマに小説を書いたことに興味がありました。
苦しい内容だったけど読むのをやめられず、2時間くらいで一気に読みました。
いじめを受けている中学生の斜視の男の子。教室で同様にいじめられている少女・コジマ。
クラスでいじめをしているグループの一人である百瀬。三人の登場人物。
やがてそれぞれの抱く気持ち、理論、主張が明らかになっていきます。
それぞれがあまりにすれ違っていて、驚愕しながら苦しくなってきます。
読んでいってどんどん重苦しくなります。やるせなさと悲しさにさいなまれます。
ただ読んでいくだけなら、単純なイジメについての小説だと受け取ると思います。
けれどその背景には善と悪という問題があるのですね。
絶対的な物ではなく相対的な物と思うけど、この難しい問題をうまく表現しています。
自分の常識が揺さぶられる感じ。そして最後に救われます。だから「ヘヴン」なんだ!。
苦しみを背負う私たちの「ヘヴン」はどこにあるのかを問われているように思えます。
それはこの世界にしかない、この世界の中にあることを見いだせと訴えているようです。
これほどの緊張感を持続したまま、最後まで読むことができた作品は久しぶりです。
今回読んだことで作家の熱というものをはっきりと感じる、そんな作品でした。
作家独特の諦観があり、表現者としての熱すぎる位の思いを感じることができました。
そういった意味でも、久しぶりに小説を読むことの素晴らしさを感じました。
いろいろな表現方法を通じてこれからも良い本を書いてくれると期待しています。
ここにある天国「ヘヴン」川上未映子さんの次回作がとても楽しみです。

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「ヘヴン」川上未映子
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