装幀はchutte。装画は山本祐布子。
「小説NON」2005年10月号から2007年3月号まで不定期掲載をまとめた短編集。
・山月記・原作中島敦(既読)
孤高の大学生、斎藤秀太郎が大文字山で変化(へんげ)したのは…。抑えた簡潔な筆致が受け継がれ、ユーモアのサービスも。
・藪の中・原作芥川龍之介(既読)―黒澤明監督が映画化(「羅生門」)。
学園祭で上映された映画「屋上」。関係者それぞれが語る静かな“物語”。大学で映画研究会にいて映画作りをしていたので、メイキングのドキュメンタリーみたいでうれしかったです。だんだん核心に近づく描写にどきどき。
・走れメロス・原作太宰治(既読)
詭弁論部の廃部を救うため図書館警察長官が出した提案に大爆笑。森見さんお得意の妄想全開に抱腹絶倒。書き出しの“(主人公)は激怒した”や、“ああ、神々も笑覧あれ!”を憶えててハマりました。やっぱり京都は加茂川なのですね。目次はシルエットでしたが、あとがきの先の初出ページには猥褻物陳列ダンスユニットの、桃色ブリーフ着用乱舞姿が(誰も知りたくない情報?笑)。
・桜の森の満開の下・原作坂口安吾(未読)
ていねいな語り口。淡々とつづられる男と女の行きつく先は…。幻想的なお話。ちょうど桜咲くこの季節に読んだので、印象に残ります。
・百物語・原作森鴎外(未読)
怪談会の催し、百物語の集いに参加した作者が主人公。なかなか始まらないと思っていたら最後に…。これまでの登場人物が再登場。
五つの名作を森見流にカバー・リミックスしたリメイク小説集です。設定を現代の京都に置き換え、登場人物はあの大学の学生たち。読んでいたのは始めの三つだけでしたが、原作の文体やエッセンスなど特徴を活かしながら、森見さん独自の作風を盛り込み、新たな物語へと昇華。それぞれの作品に合ったスタイル、アレンジでメリハリも効いていました。
一番好きなのはやっぱり「走れメロス」。京都の町を走るスピード感、畳み掛けてくるばかばかしさの笑い、壊れたように見えてきちんと合わさる整合性。三拍子揃って楽しめました。
この本は、編集者の提案・アイデアを賞賛したいです。新刊なのに年代もののようなレトロチックな装画が、ヴィンテージな雰囲気を醸し出しています。
そして須磨さんの、未曾有にうまい猫炒飯の作り方を知りたくなりました(男たちのハートをわしづかみ、笑p110)。
関連情報 森見登美彦の読了本
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太陽の塔 森見登美彦・・
夜は短し歩けよ乙女 森見登美彦・・
有頂天家族 森見登美彦
新釈走れメロス他四篇 森見登美彦
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新釈 走れメロス 森見登美彦著/祥伝社 これは誰がどう読んでも「夜は短し歩けよ乙女」と リンクしていますぞ。 〈新釈〉走れメロスposted with 簡単リンクくん at 2007. 3.22森見 登美彦著祥伝社 (2007.3)通常2
古典の名作を森見流に解釈したらこうなった!キターーーーって感じです。前5篇からなる短編集。もちろん原作は誰でも知っている作品ばかり・・・・だと思う。自分は『山月記』と『走れメロス』しか読んだことはあ
新釈 走れメロス 他四篇森見 登美彦 祥伝社 2007-03-13売り上げランキング : 1947おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools≪内容≫あの名作が、京の都に甦る!?異様なテンションで突っ走る表題作をはじめ、先達への敬意が切なさと笑いをさそう、5つの傑作短編....
新釈 走れメロス 他四篇 ○読んだことのある作品 △あらすじくらいは知っている作品 ×ほぼ知らない作品 ↓ ○『三月記』中島敦 ×『藪の中』芥川龍之介 ○『走れメロス』太宰治 △『桜の森の満開の下』坂口安吾 ×『百物語』森鴎外 これらの作品を森見さんらしく、 現
新釈 走れメロス 他四篇 作者: 森見登美彦 出版社/メーカー: 祥伝社 発売日: 2007/03/13 メディア: 単行本 来ました森見登美彦の最新刊!!! これを読まずして何を読みましょうか。 おおざっぱに感想を述べると、これまでの森見ワールドはそのままに、現代小説の礎を築いた
新釈 走れメロス 他四篇■やぎっちょ書評森見登美彦さんの月。で、発送が一番早かった、そして最近出版されたこの本を読んでみる。正直文学は大の苦手だが果たしてだいじょうぶか!?「走れメロス」他4編の短編から成ってますが、個人的には「走れメロス」が飛びぬけて...
「山月記」「藪の中」「走れメロス」「桜の森の満開の下」「百物語」を現代の京都を舞台に森見流に再構築。これはもう、【文学】ではなく【文楽(‘ぶんがく’と読んでね)】です。楽しい楽しい読書の時間を過ごすことができました。元ネタの文体や設定を生かしながら、....
森見登美彦 2007 祥伝社 あ、またパンツ。表紙の中央に輝くピンクのブリーフ
〈新釈〉走れメロスposted with 簡単リンクくん at 2007. 3.15森見 登美彦著祥伝社 (2007.3)通常24時間以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る
今日読んだ本は、森見登美彦さんの『新釈 走れメロス 他四篇』です。
新釈 走れメロス 他四篇森見 登美彦現代の京都の大学を舞台に文豪達の名作をよみがえらせた短編集。元になったお話しは「山月記」中島敦、「藪の中」芥川龍之介、「走れメロス」太宰治、「桜の森の満開の下」坂口安吾、「百物語」森鴎外えっと、えっと。「文豪達の名作」と
新釈 走れメロス 他四篇森見 登美彦 2007/3/20発行 祥伝社 P.216 ¥1,470★★★★★「約束を守るも守らないも問題ではないのだ、信頼するもしないも問題ではないのだ。迷惑をかけてもいいだろう。裏切ってもかまわん。助け合いたければそれもいい。何
あの名作が、京の都に甦る!? 暴走する恋と友情――若き文士・森見登美彦の近代文学リミックス集!祥伝社HPより面白かったです。どんな感じなのかと思ってたら、想像してたよりまんまの森見節。原作が有名どころばっかなのでどう料理されるのかと思ってましたが、こういう
新釈 走れメロス 他四篇 森見登美彦/祥伝社あの名作が、京の都に甦る!? 異様なテンションで突っ走る表題作をはじめ、先達への敬意が切なさと笑いをさそう、5つの傑作短編を収録。若き文士・森見登美彦の近代文学リミックス集。 ややや!これは面白い!めちゃくちゃ面白
森見さんの『【新釈】走れメロス 他四篇』です。中島 敦 『山月記』芥川龍之介『藪の中』太宰 治 『走れメロス』坂口 安吾『桜の森の満開の下』森 鴎外 『百物語』以上の五つの作品を下地に新釈という形で森見テイスト満載に書き上げた短篇集になり....
『山月記』(中島敦)、『藪の中』(芥川龍之介)、『走れメロス』(太宰治)、『桜の森の満開の下』(坂口安吾)、『百物語』(森鴎外)の5篇を収録。
新釈 走れメロス 他四篇発売元: 祥伝社価格: ¥ 1,470発売日: 2007/03/13売上ランキング: 725おすすめ度 posted with Socialtunes at 2007/05/28いやーおもしろかった、おもしろかったのだ、これは信じて欲しい、森見がおもしろくないわけがない。私は彼が大好きなのだ。も
森見さん、楽しく遊んでおられます。この芸の細かい遊び方が、なかなか楽しい。「山月記/薮の中/走れメロス/桜の森の満開の下/百物語」の五編の小説を下敷きにして、「夜は短し歩けよ乙女」で出てきたキャラクターなんかも登場して、もう独特の森見ワールドが展開されて
あの名作が、京の都に甦る!?暴走する恋と友情――若き文士・森見登美彦の近代文学リミックス集!その時、彼の腕を通りすがりの女性が必死で掴み、「ちょっとすいません!」と叫んだ。思わず見返した相手は驚くほどに可憐な乙女であり、目に涙を溜めている....
「あるのだ。そういう友情もあるのだ。型にはめられた友情ばかりではないのだ。声高に美しい友情を賞賛して甘ったるく助け合い、相擁しているばかりが友情ではない。そんな恥ずかしい友情は願い下げだ!俺たちの友情はそんなものではない。俺たちの築き上げてきた繊細微妙な
タイトル:新釈 走れメロス 他四篇著者 :森見登美彦出版社 :祥伝社読書期間:2007/08/07 - 2007/08/09お勧め度:★★★[ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ]異様なテンションで京都の街を突っ走る表題作をはじめ、先達への敬意が切なさと笑いをさそう、五つの傑作短編。文
著者:森見 登美彦出版社:祥伝社紹介文:文豪の作品を現代風にアレンジした作品集。『山月記』『藪の中』『走れメロス』『桜の森の満開の下』『百物語』。連作、というわけではないのですが、同じ大学が舞台になっているようです。既読の原作は3つでしたが、...
古典を原作として現代に置き換えて書かれた短編集。全ての作品が京都を背景としていて、学生が主人公です。登場人物はリンクがなされていて、斎藤秀太郎が、ちょこちょこ登場します。詭弁論部も出てきます。原作は「走れメロス」「藪の中」位しか憶えていませんが、他の作品
〈新釈〉走れメロス 他四篇 森見登美彦異様なテンションで京都の街を突っ走る表題作をはじめ、先達への敬意が切なさと笑いをさそう、五つの傑作短編。(「BOOK」データベースより)山月記/薮の中/走れメロス/桜の森の満開の下/百物語正直原作は...
実は先日の事前準備はこの本のため!森見登美彦の現代版「走れメロス」。リメイク本とでもいうのかな、とにかく面白かった!!
森見さん(勝手に「もりみぃ」と呼んでいる)の本は、「夜は短し歩けよ乙女」をアンソロジーの中でちょっと読んだだけ。京都を舞台にとんでも...
新釈とつけられたとおり森見登美彦ファンにはたまらない一冊。かくも有名な「走れメロス」。森見さんが手掛かるとこうも違った面白さになり、それでいてなおかつ未だに「走れメロス」なんです。こうも縦横無尽に京都を疾走する現代のメロスにただただ感服するのみでした。...
どこまでこの大学ものをひっぱれるかと
いうところかもしれませんが(笑)
やっぱりバカバカしくて好きなんですよねぇ。
私など原典をひとつも読んでいないという
暴挙の上、読了しましたが、
やっぱり読んでおくべきだったでしょうか(汗)