生来の詐欺師・夏子は男をその気にさせる天才。口癖は「これで終わるような女じゃない」。
がむしゃらに勉強だけをして弁護士となった徹子は、いつも虚しさを感じている。
同い年で遠戚、たびたび夏子のトラブルの始末をさせられる徹子。
特別になりたい女と平凡を望む女。それでも私は、彼女を嫌いになれなかった。
“鉄の女”と“性悪女”を描く、桂望実二年ぶりの長編。
愛されるルックスと性格から周囲の男性に詐欺まがいの行為を繰り返す夏子。
トラブルの尻拭いを数十年に渡って何度も引き受ける夏子の遠縁の女性弁護士・徹子。
性格も生き方も何もかも対照的な二人。
最初は徹子と同じように夏子の行為がまったく理解できず共感もできずにいました。
依頼の処理を重ねるにつれて徐々に引き起こすトラブルを楽しく思うように変わる徹子。
彼女のトラブルを発端に関わっていく人たちを通じて徹子が成長していきます。
今日生きられたことに感謝すべきと考えるに至るまでの道のり。
登場人物それぞれに共感できる部分があります。
孤独で虚しく感じるような自分の人生でも実は誰もが同じような思いを抱えていること。
悩みや不満を持っていても、人はそれぞれ自分でしか味わえない人生を歩んでいること。
そこから私の人生は唯一のものであり、それで良いんだと感じさせてくれました。
話は徹子の視点で淡々と綴られ徐々に共感していき、最後は救われた印象が残ります。
自分の人生に対して迷いや虚しさを感じている人に手にとってみてほしい一冊です。
「嫌な女」桂望実さんの構成も登場人物も面白い、人間らしさが溢れる爽快な読後感。

楽天からも購入できます。

「嫌な女」桂望実
- http://1iki.blog19.fc2.com/tb.php/2151-28aec1d9
トラックバック
コメントの投稿