「空想オルガン」初野晴

吹奏楽の“甲子園”――普門館を目指す穂村チカと上条ハルタ。
弱小吹奏楽部で奮闘する彼らに、さまざまな事件が持ち上がる。
青春ミステリの決定版、ハルチカシリーズ第３弾！
吹奏楽の“甲子園”普門館を目指すハルタとチカ。
ついに吹奏楽コンクール地区大会が始まった。だが、二人の前に難題がふりかかる。
会場で出会った稀少犬の持ち主をめぐる暗号、ハルタの新居候補のアパートにまつわる幽霊の謎、
県大会で遭遇したライバル女子校の秘密、そして不思議なオルガンリサイタル…。
容姿端麗、頭脳明晰のハルタと、天然少女チカが織りなす迷推理、
そしてコンクールの行方は？ハルチカシリーズ第３弾。青春×本格ミステリの決定版。

シリーズ第３弾。今回はチカたち清水南高校吹奏楽部が出場するコンクール編です。
冒頭の序奏で時は２年生の夏。高級犬の飼い主当て暗号解読「ジャバウォックの鑑札」、
幽霊が出る噂のあるアパートの驚愕の仕掛けが痛快な「ヴァナキュラー・モダニズム」、
ギャルたちがメンバーの吹奏楽部ギャルバンが抱える深刻な秘密を探る「十の秘密」、
そしてオルガンにダブル・ミーニングを託して再生のドラマを描きつつ、
最後の最後に鮮やかな逆転を決めてみせる表題作「空想オルガン」の４編。
天然チカと天才ハルタの二天一流（勝手に命名？笑）が今回も事件を解決していきます。
思わず笑ってしまうギャグセンス。トーナメントを一つ一つ上っていく緊張と興奮。
どんどん強くなっていく仲間たちの絆。やられたと唸らされる謎解き。
今回は連作短編という形式を活かし、綺麗に収束するオチが秀逸です。
前面に出している部活もの青春ものの設定、まさかそこに仕掛けを用意していたとは。
予想もできなかった結末に驚きです。最終的に前向きで清々しい気持ちになれました。
オルガンリサイタルの「空想オルガン」初野晴さんの最後まで飽きずに読める傑作です。

空想オルガン (2010/09/01) 初野 晴 商品詳細を見る

「空想オルガン」初野晴