収録内容・母の記憶/夜の訪問者/そっくりさん/おとなしい妻/残りもの/
豹変/生命保険/痴漢/ブス談義/再会/償い/ビデオレター/ママの魅力/
淑女協定/深夜の乗客/隠れた殺人/催眠術/幸福な生活
「道子さんを殺したのは、私なのよ――」
認知症が進んでから母はよく喋るようになった。
しかし、その話の大半は出鱈目だ。妻は自分がいつ殺されたのと笑うだろう。
施設を見舞うたびに進行していく症状。
子どもの頃に父が家出して以来、
女手ひとつで自分と弟を育ててくれた母をぼくは不憫に思えてならない。
久しぶりに訪れた実家の庭でぼくは、むかし大のお気に入りだった人形を見つける。
40年ぶりに手にした懐かしい人形。
だが、それはおそろしい過去をよみがえらせた……(「母の記憶」より)。
サスペンス、ファンタジー、ホラー……、様々な18話の物語、
そのすべての最後の1行が衝撃的な台詞になっているという凝った構成。
『錨を上げよ』で話題の百田尚樹は長編だけじゃなかった。
星新一、阿刀田高、筒井康隆という名手顔負けの掌編小説集を世に送り出した!
ショートストーリーを集めた本でしたが、一気に読み切ってしまいました。
短編集ながらそのストーリー性や文体は違和感なく、すっと入って行けました。
それまでの雰囲気がたった一行の一瞬にしてガラリと様相を変える驚き。
映像技術がどれほど発達しても、この衝撃を視覚化することは困難でしょう。
これほどの衝撃的な短編集はショートショートの先人たちに引けを取らない出来栄え。
最後の一行に潜む大きな落とし穴。その多くは意外なほど無邪気で何気ない一言です。
その一言で天地が入れ替わるほどの急展開。物語の後を想像して思わず戦慄を覚えます。
緩やかに淡々と流れてきた中に、実は幾つもの伏線が織り込まれていたと気づくのです。
これまでの作品から長編がお得意なのかと思っていたら、短編もすばらしいですね。
痛快なエンディングの作品、乾いた笑いのもの、少しほのぼの系もありましたが、
鳥肌がたつものや言葉を失うものが次々と登場。ドキドキなので心臓の弱い方はご注意。
思わず背筋が寒くなるものも少なくないほど、全般的にシニカルでブラックなオチ。
ハッピーエンドをこよなく愛する人には不向き。一編が終わるたびに凄い衝撃です。
「幸福な生活」百田尚樹さんのシュールなブラックユーモアが強烈な短編集です。
楽天からも購入できます。

「幸福な生活」百田尚樹
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これは「面白い」 帯の「衝撃的」というのは、ちょっとおおげさな気もしますが… 衝撃的というよりは、「ぞわっ」って言うか、なんて言うか… 短編だし、帯書きの通り、最後の1行で
幸福な生活(2011/05/27)百田尚樹商品詳細を見る
百田尚樹流“ショートショート”18の短編集。
ストーリーには全編、
大どんでん返し+上品な恐怖が必ず含まれている。
しかし私の乏
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十ページあまりの短編が十八編たばねられている。一見幸福に推移する生活のなかで、配偶者や親子の素顔があらわになって度肝を抜かれ...
「永遠の0」ですっかりハマってしまった百田尚樹の短編集である。 表題作を含めて全18作品で構成されている。 面白いのはすべての作品が同じパターンで構成されているという事。 最...
百田尚樹著 2011年祥伝社刊行 初出 2009年〜2011年「新刊ニュース」(株式会社トーハン)連載 最後の1行のセリフにインパクト持たせた以下の短篇集。 母の記憶 夜の訪問者 そっくりさん
幸福な生活(2011/05/27)百田尚樹商品詳細を見る
『プリズム』が本屋大賞にノミネートされている百田さん。
これは、その前に出された短篇集ですが、
一気に読み終わった感想としては
「百田尚樹」の短篇集『幸福な生活』を読みました。
[幸福な生活]
『カエルの楽園』、『フォルトゥナの瞳』に続き、「百田尚樹」作品です。
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