その決断が未来を変える。連鎖して、三つの世界を変動させる。
こだわりとたくらみに満ちた三中篇を貫く、伊坂幸太郎が見ている未来とは。
中篇「PK」「超人」「密使」からなる未来三部作。
「PK」「超人」「密使」という3つの中編が収録されています。
どの物語もSFめいた謎が提示され、脈絡のなさそうな複数の話が同時並行します。
話が次第に収束するにつれ謎の正体がおぼろげに見えてくるという内容です。
謎の全容は明らかにならず余韻(悪くいえばモヤモヤ)を残したまま物語は終わります。
メインタイトルのPKは、物語のハイライトとなるサッカーのPKペナルティキックと、
登場する超能力(念動力=psychokinesisサイコキネシス)のPKからと思います。
ゲーム用語は「ソードアート・オンライン」のPKプレイヤー・キル。これは違いますね。
ちなみに超能力用語のいろいろ。予知はプレコグニション、透視はクレアボヤンス、
瞬間移動はテレポーテーションまたはテレポート、テレパシーはご存知ですね。
こういう知識は主に漫画から。「ドラえもん」の「エスパー帽子」のお話や石ノ森章太郎作品からです。
そういえば超能力なら横山光輝さんの「バビル二世」が有名でした。おお凄い脱線・汗。
話を戻します。一見、荒唐無稽とも思えるストーリー展開なのですが、
それとなく「近くにこんな世界があるのかもしれない」と思わせてくれる物語。
脅される登場人物が圧力に屈せず勇気をもって信念を曲げず実行することが共通。
「臆病は伝染する、そして勇気も伝染する」困難に立ち向かう意気込みがよかった。
たとえささいな友情やちっぽけな勇気であってもこうして描いてみせることで、
なんとなく「昨日よりちょっと頑張ってみようか」と思わせてくれました。
明確ではない、ぼんやりとした余韻を与えるというのも小説の1つの魅力ですよね。
物語が収束して大団円に向かう話はすごく楽しいし、好きです。
ただこのような収束しつつ拡散して、読むのに少し難儀する話も時には悪くないかな。
伊坂作品ならではの爽快感を求めてたら、ちょっとがっかりするのも一興。
ミステリではなくSFとしてディティールの完成度の高さを楽しみました。
悩みながら挑戦し、独自のエンターテイメントを追求しているような伊坂さん、
今後がますます楽しみになってきました。
「PK」伊坂幸太郎さんの新たな面に出会えた感じがして、読んでよかったです。
楽天からも購入できます。

「PK」伊坂幸太郎
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作家の伊坂幸太郎さん(40)=仙台市=が、中編3作を収録した「PK」(講談社、1260円)を出版した。ヒーローの在り方や勇気、因果関係などを軽やかでありながらも、重層...
PK(2012/03/08)伊坂 幸太郎商品詳細を見る
感想はこちら⇒くりきんとんのこれ読んだ
読むだけであれば、あっさり読了できる短編集でR。
一話目の「PK」の爽やかさで満足して夕食をとった後、残り二話を読み終え就寝。…瞼を下げつつも、超人と密使の難解な筋書きに
★内容等に触れている記述があります。未読の方はご注意願います。東野圭吾氏より本著者の方が波長があっているようです。何と無く読んでいるうちに、柔らかな蜘蛛の糸に絡め取ら ...
PK作者: 伊坂 幸太郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/03/08メディア: 単行本 『マリアビートル』から約1年半。伊坂さんの新作は連作短編でした。三つの独立した話かと思えば、繋がり
そして,子供たちは目を輝かせる。
中篇「PK」「超人」「密使」からなる“未来三部作”。
こだわりとたくらみに満ちた三作品を貫く、伊坂幸太郎が見ている未来と...
伊坂幸太郎著 2012年講談社刊行 初出 2011年「群像」「NOVA5」 以下の中編3本 PK 超人 密使 それぞれちょっとずつ繋がっているというか、「超人」と「密使」はパラレルワールドで、その後
『PK』
著者:伊坂幸太郎
出版社:講談社
・「PK」
・「超人」
・「密使」
以上、3作からなる中編集。伊坂さんによるあとがきによると、「PK」と「超人」は2010年の夏には完成しており、「群像」にて2011年に掲載。「密使」は2011年2月には完成しており、「NOVA」にて掲載。この単行本をまとめるにあたり、2編いずれも少し手を加え、繋がり...
「伊坂幸太郎」のSF連作中篇小説『PK』を読みました。
[PK]
『死神の浮力』に続き「伊坂幸太郎」作品… 今月初めに読んだ『ホワイトラビット』以来、6作連続で「伊坂幸太郎」作品ですね。
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そして、子供たちは目を輝かせる。
『PK』『超人』『密使』からなる“未来三部作”。
こだわりとたくらみに満ちた三中篇を貫く、伊坂幸太郎が見ている未来とは―...
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