●隣の課の課長が自分のことを好きらしいと聞いた陽子は、
全く好意はないが変に意識するようになる。
その後課長は若い部下との結婚が決まって、
陽子は微妙に“振られた女”という目で見られるように。
最初に課長の話を振ってきた後輩・亜里沙の作為を疑う陽子。
だが後輩の行動はそれだけではなかった…「三つ、惚れられ」
●会社の後輩と居酒屋で飲んでいる女性の独白。
連想ゲームのように次々と話題が出てくるなか、
彼女の儚く終わった恋の記憶が蘇る…「元気でいてよ、R2-D2。」
●千葉に住む姉夫婦の家に数日泊まって東京見物をする詩織。
義理の兄に郊外の美術館に連れて行ってもらう。
日常を離れて特別な時間を味わうが、
帰宅して姉に言われた言葉にどこか毒を感じてしまう…「さりさりさり」他、
普段は見えない人の真意がふと現れる瞬間を描く、全8編収録の短編集。
取り返しのつかない、色んなこと。
今までもいっぱいあったし、これからもいっぱいあるんだろう。
忘れられない苦い記憶。知ってしまった笑顔の裏側。
新直木賞作家が人生に射す影を捉えた受賞後第一作。
日常に潜む悪意や無神経を巧みに描く短編集。
ふとした瞬間に気づく、他人の嫉妬の恐ろしさや自分の哀しみの深さ──。
何気ない悪意や無神経さを30~40代女性の目線で巧みに描く。
全8編。直木賞受賞後第一作。
平穏な日常は、他人の何気な言葉ひとつで、ざわつき始める。
夫と後輩女性が噂になっていると聞き、
妻が駆け込んだ所は?(「マスカット・グリーン」)
女同士の飲み会で、あっちこっち脱線しながら話すうち、
ふと蘇る切ない記憶(「元気でいてよ、R2‐D2。」)。
笑顔の裏の真意、言葉にできない負の感情など、
普段は隠している本音が顔を出す瞬間を、女性を主人公に巧みに描く。
傑作短編8編を収録。
円紫さんシリーズやベッキーさんシリーズで扱ってきたような、
日常に潜む些細な謎をもとに紡いだ物語でありながら、
恐怖小説、怪異譚といった性格のお話が収録されています。
北村薫さんの作品は割合読んできた気がしますけど、
この短編集は陰と言うか毒を含んでいて、色々と考えながら読めた面白い一冊でした。
こういった日常の中に潜む毒を描いた作品は深くて結構好きです。
「元気でいてよ、R2─D2。」北村薫さんの人間心理の奥深さも感じた短編集です。
マスカット・グリーン/腹中の恐怖/微塵隠れのあっこちゃん/三つ、惚れられ/
よいしょ、よいしょ/元気でいてよ、R2-D2。/さりさりさり/ざくろ
楽天からも購入できます。

「元気でいてよ、R2─D2。」北村薫
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