はた迷惑な奴らリターン!! 名探偵の条件。気力・体力・変人あしらい。
そしていかがわしい依頼が舞い込む町在住であること!
烏賊川市で探偵事務所をひらく鵜飼のもとには、なんとも不思議な事件が持ち込まれる。
探偵見習い・流平とともに、いい加減に華麗な推理と、
ずっこけチームワークで難事件を次々解決!!
2011年本屋大賞受賞、東川篤哉の大人気シリーズ最新作!!
目次・藤枝邸の完全なる密室/時速四十キロの密室/七つのビールケースの問題/
雀の森の異常な夜/宝石泥棒と母の悲しみ
烏賊川市シリーズの六作目。書き下ろしはなく既発の五つの短編を収録しています。
東川作品の大きな魅力と言えば、あらゆる所に織り込まれた伏線と見事な回収。
膨大な伏線をギャグにまぶして読者を幻惑するのが独特のスタイルです。
ですが本作は短編集なので、これまでとはちょっと様子が違います。
短編ゆえに伏線が抑え気味で、早々に見抜けてしまうお話もあって物足りなかったです。
また、レギュラーのキャラクターで活躍するのは探偵鵜飼杜夫と助手戸村流平だけ。
あの迷探偵コンビが現実には起こりそうもない事件をサクッと解決していきます。
シリーズでお馴染みのサブキャラ朱美さんは登場せず、砂川警部も名前が出るだけです。
彼らとのコミカルなやり取りなど、魅力であるユーモア要素が少ないのも残念です。
シリーズ初の短編集は全体的にあっさりしていて持ち味を薄めてしまったようです。
トリックとプロットと叙述の切れが要求されるため、中には無理な解決もあります。
でも、さすがと思わされたり、短編ならではとも言える趣向を凝らしたお話もあり、
かなり複雑なプロットがスムーズに読めてしまうのは東川篤哉さんならではですね。
過去の烏賊川市シリーズと比べると見劣りしますが、短編集としては面白かったです。
幾重にも張り巡らせた伏線を見事に回収するのは長編小説でこそ活きてくるのでしょう。
でも今後も短編長編を問わず、烏賊川市シリーズは書き続けてほしいです。
この題名は「妖怪人間べム」の名台詞「早く人間になりたい」のパロディですね。
「はやく」を平仮名にしているのは「端役」とも読ませるため、というのは深読みかな。
「はやく名探偵になりたい」東川篤哉さんの愉快な烏賊川市シリーズ短編集です。
楽天からも購入できます。

「はやく名探偵になりたい」東川篤哉
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