あのころ、わたしたちは包まれていた。まぶしくて、涙が出る――。
都会から少し離れた山間の町。
小学四年生の利一は、仲間たちとともに、わくわくするような謎や、
逃げ出したくなる恐怖、わすれがたい奇跡を体験する。
さらなる進境を示す、道尾秀介、充実の最新作!
真っ赤に染まった小川の水。湖から魚がいなくなった本当の理由と、人魚伝説。
洞窟の中、不意に襲いかかる怪異。ホタルを、大切な人にもう一度見せること。
去っていく友人に、どうしても贈り物がしたかったこと。
誰にも言っていない将来の夢と、決死の大冒険―。
利一を始め、主要な登場人物は湖の畔の田舎町に暮らす少年少女たち。
夏休みから冬の終わりにかけて、日常と非日常の間で経験する出来事を描きます。
子供時代に感じた感動や謎を、大人になって振り返る形式の少年少女の冒険物語。
赤い川の謎。魚がいない湖に住むという人魚の伝説。アンモナイトの発掘。
少年時代に心を奪われた謎や挑戦を、大人となった当人の追憶として語ります。
確かにあったはずなのに、今は喪われてしまったものへの愛おしい感情が溢れています。
このことは、いつのまにか大人になった多くの人たちに共通する思いでしょう。
永遠に繰り返されるようにも錯覚していた少年少女の日々。
ある時にはこの日常が吹っ飛ぶような冒険を経験しても、戻ってくる日常。
その一方で、退屈な繰り返しのようであっても、少年少女は少しづつ変容しています。
その途中は本人にも気づくことのできない、わずかなもの。だから多くの人たちは、
自分たちが少年少女だった時代がいつ終わったのかがわからないのでしょう。
少年少女の濃密な人間関係、子供のころ感じた事は大人になっては感じなくなります。
光を通じて見ている子供の感性。光への感光度が変わってしまうかのようです。
光そして反対の闇に関する、よく練られた仕掛けが色々登場して楽しめる物語。
簡潔で絶妙な題名「光」道尾秀介版の「スタンド・バイ・ミー」と言えそうです。
楽天からも購入できます。

「光」道尾秀介
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著者:道尾秀介
光(2012/06/08)道尾秀介商品詳細を見る
都会から少し離れた山間の田舎町。小学4年生の利一たちは、その仲間たちと、様々な体験をする。謎解き、恐怖、冒険……。
という利一たちの夏~冬の出来事を綴った連作短編集。
とにかく、何ともあどけない、素直な冒険譚というのが楽しい。
プロローグとも言える『夏の光』。町の人々から可愛がられていた野良犬ワンダが行方不明...
全然期待せずに読んだからでしょうか、面白かったです(・∀・)
物語は7つの章で構成されており、冒頭と終章ではまったく雰囲気の違う、後にいくほど作者も読者もノッてくる、締りのいい青春冒険小説です。第1章を読んだときは、だるくてもう読むのやめようかと思ったんですけど……
最後まで読んでよかったです☆そして、道尾秀介の作品で笑ったのは初めてかもしれません。利一が悦子にアンモナイトのネックレスを...
道尾秀介著 2012年光文社刊行 初出 『Anniversary50』『ジャーロ』2009年〜2012年 以下7章の“光”を印象的に使った物語。 夏の光 女恋湖の人魚 ウィ・ワァ・アンモナイツ 冬の光 アンモナイツ・アゲイン 夢の入口と監禁 夢の途中と脱出 主役は小学生の子供たちで最後の2
「道尾秀介」の長編小説(連作短篇かな…)『光』を読みました。
[光]
今月の始めに読んだ『鬼の跫音』以来、10冊連続で「道尾秀介」作品です、、、
今月は「道尾秀介」特集月間ですね… でも、1作ごとに作風が異なり、作品が進化し続けているので飽きずに読めるんですよね。
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あのころ、わたしたちは包まれていた。
まぶしくて、涙が出る――。
都会か...
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