「気分上々」森絵都

「自分革命」を起こすべく親友との縁を切った女子高生、
家系に伝わる理不尽な“掟”に苦悩する有名女優、
無銭飲食の罪を着せられた中二男子…、
人生、単純じゃない。だからこんなに面白い。
独特のユーモアと、心にしみる切なさ。
森絵都の魅力をすべて凝縮した、多彩な９つの物語。

９つの短編が時系列順に収められています。自称・発明家の夫と結婚した女性の話や、
「自分革命」を成し遂げるために親友に一年間の絶交を申し入れる女子高生の話、
３９歳で運命的で鮮烈な恋に遭遇する女性の話など、とても幅広い短編集。
高校生から大人の男女まで幅広い年代で、短編でも一瞬で読み終わるような掌編も。
微妙な按配がどれも森絵都さんの短編という感じです。
私がとくに気に入ったのは最後の短編であり、この本の表題作「気分上々」でした。
主役は中学生の少年。古めかしい世界観をもって寡黙の世界に生きた父親の死後、
父の言動を曲解しながらも教えに従い生きていく、おバカな言動を繰り広げる話です。
森絵都さんの得意とする中学生モノですが、会話の妙技には感動を覚えます。
男子間での頭カラッポな会話や、さらりと出るエンゲル係数など、抜群のセンス。
一方、母子家庭となった家庭に本当に必要だったのは、彼にできることとは何か。
父のような人物になって母を支えるのではなく、もっと違った彼らしいものでした。
「気分上々」森絵都さんのナインストーリーズ。千変万化な短編集です。
目次
ウエルカムの小部屋／彼女の彼の特別な日　彼の彼女の特別な日／１７レボリューション／
本物の恋／東の果つるところ／本が失われた日、の翌日／ブレノワール／
ヨハネスブルグのマフィア／気分上々

気分上々 (2012/03/01) 森 絵都 商品詳細を見る

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「気分上々」森絵都