新油田開発利権争いの渦中で起きた射殺事件。
AN通信の鷹野一彦は、部下の田岡と共に、その背後関係を探っていた。
産業スパイ――目的は、いち早く機密情報を手に入れ高値で売り飛ばすこと。
商売敵のデイビッド・キムと、謎の美女AYAKOが暗躍し、
ウイグルの反政府組織による爆破計画の噂もあるなか、田岡が何者かに拉致された……。
いったい何が起きているのか。陰で糸引く黒幕の正体は?
暗闇の中を、本能のままに猛スピードで疾走するスパイ、謎の女、政治家、大学教授、
電機メーカー取締役、銀行頭取……。
それぞれの思惑が水面下で絡み合う、目に見えない攻防戦。
謀略、誘惑、疑念、野心、裏切り、そして迫るタイムリミット――。
未来を牛耳り、巨万の富を得るのは、誰なのか?
そして物語は、さらにノンストップ・アクション急展開!!
この世で最も価値あるものは情報だ。
情報は、宝――。
宝探しに秀でた者だけが、世界を制する。
金、性愛、名誉、幸福……狂おしいまでの「生命の欲求」に喘ぐ、
しなやかで艶やかな男女たちを描いた、超弩級のエンターテイメント長篇!
読み始めは伏線が多くて、なかなか理解できずにやや我慢が必要でしたが、
読み進めると話にぐいぐい引き込まれ、いつの間にか夢中になって一気読みでした。
登場人物たちが目まぐるしく動き回り、絡み合う展開に油断も予断も禁物です。
張り巡らされた複線と端正な文体でリアリティを醸し出す一方で、現実を超えそうな物語。
ものすごくお金をかけて作った映画を見終えたような読後感。面白かった。
人物の描き方は期待以上で、単なるハリウッド的というわけではないのがさすがでした。
スパイ小説だろうけれど、そんな枠組みには収まらない新しいエンタメ小説です。
あまり前情報や先入観を持たずに読んだ方が驚きや戸惑いも含めて面白く読めるのでは。
「太陽は動かない」吉田修一さんの映画化希望!シリーズ化希望!作品です。
楽天からも購入できます。

「太陽は動かない」吉田修一
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(吉田修一 幻冬舎)
「私が今重要と考えているのは、日本を中心にアジアの情報を自分たちの手で集め、それをアメリカやヨーロッパに向けて発信する。そのためのアジアネットワ ...
「サイゴン病院のことなら、何も知らないぞ」
会場中央にいる米国大使夫妻の元に近寄りながらキムが呟く。
「あんたが知らないって言うんなら知ってんだろう」と鷹野は笑った。
立ち止まったキムが振り返り、「もう一度言うぞ。俺、あんたのことが嫌いなんだよ」
ホーチミン、上海、東京、香港……
アジアの都市を舞台に、国と企業の思惑が交錯する中、秘かに暗躍するスパイたちを描いた諜報サスペンスで...
例によって、予備知識なしで読み始めた。
こんな作品の方向にいくのか。ちょっと、驚き。
主人公、鷹野は惹かれるキャラクターだ。
でも、続編はない方がいいんだろうな。
日々、厭わしい事が多く、今日絶対やることを積んで暮らしている。
覚え書きは、テキストメモでつけているので、溜まった文章は、どこかで更新しよう。
今日は、赤魚の干物。大き...
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