やみくもに、自分本位に、あたりをなぎ倒しながら疾走する、はじめての恋。
彼のまなざしが私を静かに支配する――。
華やかで高慢な女子高生・愛が、妙な名前のもっさりした男子に恋をした。
だが彼には中学時代からの恋人がいて……。
傷つけて、傷ついて、事態はとんでもない方向に展開してゆくが、
それでも心をひらくことこそ、生きているあかしなのだ。
本年度大江健三郎賞受賞の著者による、心をゆすぶられる傑作小説。
怖れを知らない女子高生が、哀しい目の男子に恋をした。
熱い思いは勢いあまり、彼の恋人に向けられて…。人間の根源的な愛を問う最新長篇。
男子生徒「たとえ」に恋愛感情を抱きながら、縮まらない距離のはがゆさを描く物語。
前二作は割と軽いタッチの印象で、そちらも好きでした。今回は高校生の恋愛小説。
突拍子もないというか現実的とは思えないような設定のストーリーです。
だけど作品内のリアリティとしては一貫した感じで読めるので、これもありかなと。
愛憎に満ちてやや重く暴走していく、そんな主人公の自意識の熱さに引っぱられます。
繊細な描写で人間の毒や弱さ、優しさや強さを、独特の表現や比喩で鋭く織り込む内容。
高校生活が舞台という懐かしさもありつつ、新しい価値観が織り混ざり凝縮しています。
さらさらと読みやすく、後半の疾走感がスリリング。こういう変化する展開も好きです。
最後に示した『ひらいて』の意味も、他愛ない言葉なのに、すんなり心に入ってきます。
心「ひらいて」綿矢りささんらしい、不思議と心に刺さる作品だと思います。
楽天からも購入できます。

「ひらいて」綿矢りさ
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やみくもに、自分本位に、あたりをなぎ倒しながら疾走する、はじめての恋。彼のまなざしが私を静かに支配する――。華やかで高慢な女子高生・愛が、妙な名前のもっさりした男子に恋をした。だが彼には中学時代からの恋人がいて……。傷つけて、傷ついて、事態はとんでもない方向に展開してゆくが、それでも心をひらくことこそ、生きているあかしなのだ。本...
上質な紙の本です。まっさらのページにそっと鼻を近づけると、ほのかに木の香りがしました。
この感覚は電子書籍にはありえないですよねえ。本というものの本来の価値じゃないですか。
で、素晴らしい薄皮に包まれた本作の内容はというと、これがまた少し複雑でしてね。
恋愛小説だろうと思って読んでたら途中で怪しげな方向にさ迷いだしたので、おいおいインモラルかよ、と思っていたら何とか軌道修正して、最後に...
ひらいて綿矢 りさ 新潮社 2012-07-31by G-Tools
やみくもに、自分本位に、あたりをなぎ倒しながら疾走する、はじめての恋。
彼のまなざしが私を静かに支配する――。
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だが彼には中学時代からの恋人がいて……。
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これは間違いなくあの「蹴りたい背中」を書いた綿矢りさの小説であ
る。2つは確かにつながっている。一方でこれは本当にあの「蹴りたい
背中」の作者が書いた小説なのか?とも思う。なぜなら表現力、言葉の
力強さが芥川賞受賞のあの小説とは格段の差があるからだ。それ...
怖れを知らない女子高生が、哀しい目の男子に恋をした。熱い思いは勢いあまり、彼の恋人に向けられて…。人間の根源的な愛を問う最新長篇。 ちょっと独特な恋愛小説。主人公の愛にはたとえという名前の好きな人がいるんだけど、ある時にたとえが手紙を読んでいる所を見かけて、その手紙を盗み読むと、同じ高校に通う美雪とたとえが付き合っている事を知る。どうにかしてたとえに近づきたい愛は、美雪に接近して親しくなり、...
ひらいて を読みました。
ひらいて(2012/07/31)綿矢 りさ商品詳細を見る
少し前に、模試で使われていて、おもしろそうだったので借りました。
ちなみに使われていたのは、物語の冒頭にあたる部分です。
私は、同じクラスの西村たとえ、という男の子に恋をする。
しかし、たとえには美雪という彼女がいた。
私は、たとえの興味が全くもって自分に向けられないことを...
「しょうがの味は熱い」というタイトルだったかな、
あれはめちゃくちゃ面白いです。
綿矢りさはあれで完璧になりました