イラストと小説が響かせる、生きるよろこびとせつなさ。
松尾たいこのイラストと、それをモチーフに描かれた角田光代の連作短編小説。
女性の一生を通して、出会いと別れ、
生きるよろこびとせつなさを紡いだ、色彩あふれる書き下ろし競作集。
松尾たいこの色鮮やかなイラストから、角田光代が5編の小説を創作。
なくした恋も、友だちも、思い出も、いつかまたきっと会える──。
なつかしく大切な一瞬を詰め込んだ、宝石箱のような一冊。
いつのまにかなくなったもの、というのが、人生にはたくさんある。
たとえば、赤ん坊のときに好きだったぬいぐるみ。水玉模様のかさ。
初めてできた友だち。恋とは気づけなかった幼くてまばゆい初恋…。
松尾たいこの彩り豊かなイラストから角田光代が紡いだ5編の小説には、
そんな愛しくてなつかしい記憶がぎっしり。
人生の出会いと別れをこまやかに綴った、せつなくもあたたかい作品集。
どちらかというと女性の微妙な心理を鋭く描くのが独特で個性的な角田光代さんですが、
この本は可愛いらしく、ふんわりとしたファンタジーテイストでストーリーが展開。
主人公の成子が成長とともになくしていったものたちのことを5つの話で語っています。
いろんなものと話ができた8歳までの話、少年に生まれ変わったネコと再会した話。
姿を変え形を変え、私たちはまた出会う。出会いと別れ、生きることの喜びと切なさ。
せっかく出会ったものやことをなくしたりなくなってしまうことは悲しいけれど、
成子が何かをなくすとともに少しずつ成長していく姿は、清々しく晴れやかです。
全編を通して「あったあったこんなこと」と、自分の体験と共通する部分もいっぱいです。
子供の頃こんな風に感じた事があったなと共感。懐かしくしみじみした気持ちになります。
松尾たいこさんの描くイラストがまた不思議な世界観を醸し出しています。
不安や寂寞感、癒しややすらぎなど、人の心を揺さぶる絵。見ているだけでも楽しめます。
松尾たいこさんの絵と角田光代さんの文章で素敵な雰囲気の1冊に仕上がっています。
「なくしたものたちの国」角田光代さんと松尾たいこさんの大人の為の素敵な絵本です。
楽天からも購入できます。

「なくしたものたちの国」角田光代・松尾たいこ
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