木崎淳平は教師をやめ、ハワイ島を訪れる。
友人から奨められた日本人経営のホテルは「リピーターを受け入れない」ことが特徴だという。
やがて同宿者がプールで溺れ死ぬ事件が起きた。直後にはバイク事故でもう一人が。
このホテルにはなにかがある……。不穏な空気に充ちた、傑作ミステリー。
不祥事で若くして教師の職を追われ、抜け殻のようになっていた木崎淳平は、
友人のすすめでハワイ島にやってきた。
宿泊先は友人と同じ「ホテル・ピーベリー」。なぜか“滞在できるのは一度きり。
リピーターはなし”というルールがあるという。
日本人がオーナーで、妻の和美が、実質仕切っているらしい。
同じ便で来た若い女性も、先客の男性3人もみな、日本人の旅行者だった。
ある日、キラウェア火山を見に行った後に発熱した淳平は、和美と接近する。
世界の気候区のうち、存在しないのは2つだけというこの表情豊かな島で、
まるで熱がいつまでも醒めないかのごとく、現実とも思えない事態が立て続けに起こる。
特異すぎる非日常。愛情、苦しみ、喜び、嫉妬―人間味豊かな、
活力ある感情を淳平はふたたび取り戻していくが…。著者渾身の傑作ミステリー。
長期滞在を計画し、オアフでなく僻地ハワイ島へ来た傷心を抱え教職を辞した若い主人公。
彼が滞在先のホテルで、思いがけない事件に巻き込まれるサスペンスミステリ。
明るい常夏の観光地ハワイ。誰もがイメージするものとは微妙な温度差が感じられる舞台。
家庭的な民宿の趣すらある明るい表情の裏。翳った闇の気配が漂うホテル。
登場人物たちはそれぞれに冷えた裏の顔を秘めているような、怪しいスタッフと滞在者。
ヒーロー的な探偵役やエキセントリックな殺人犯が登場するミステリーではないです。
常識を打ち崩すようなシチュエーションやトリックで読者を驚かすこともないです。
主人公を軸にした登場人物たちの表と裏の繊細な心理のひだをより合わせていく展開。
正しい選択が誤まった選択になってしまう脆さ危うさを登場人物に投影していく点が秀逸。
感情ある故の人間の弱さ。クローズドサークル内で主人公の葛藤もうまく表現しています。
その先の興味をスリリングに牽引し、巧みなツイストで表裏一体の解決へと着地します。
飽きる暇もなく、夢中で物語の世界を楽しませてくれる作者のお手並みが見事。
「ホテル・ピーベリー」近藤史恵さんの論理より心理で読ませる一気読みのサスペンス。
楽天からも購入できます。

「ホテル・ピーベリー」近藤史恵
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とある理由で、小学校教師をやめて現在無職の男が、ハワイのビッグアイランドのヒロという都市から少し離れた少し変わったホテルに滞在する事になるというお話。
事件が起きるまでは、長すぎる夏休みは人の心を蝕むというようなちょっとしたモラトリアム小説ぽい感じもあり、そのまま事件が起きなければミステリーではなくても、それはそれで成立したなと思えるものですね。
ハワイって温かくてすごしやすいだ...
著者:近藤史恵
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教師をやめ、ハワイ島へと降り立った木崎淳平。観光客もあまり訪れないハワイ島。特殊なルールのあるホテル・ピーベリーで3ヶ月のときをすごすはず淳平だったが、滞在客の一人がプールで不審な死を遂げる……
なんか、独特の雰囲気がある作品だなあ、というのがまず第一。まず、冒頭にも書いた、ホテルの特殊な状況が...
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29日~30日。
近藤史恵のミステリー。
わりと軽く読める作品だった。
不祥事を起こし、教師を退職した淳平。
淳平は友達の勧めでハワイ島にある「ホテル・ピーベリー」へやってきた。
このホテル、リピーターお断りで長期滞在は3か月までという
ちょっと変わったルールがあった。
ホテルは日本人がオーナーで...
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