「なんで俺がこんな仕事を!」女の子雑誌で孤軍奮闘する新米編集者の爽快お仕事小説。
文芸を志す若手編集者が、本人の意に沿わないプリティー系ファッション雑誌に転属。
戸惑い、失敗を重ねながら、成長していく新見くんを描くお仕事小説です。
誰でも得意分野や好きな分野があるもので、そこから志望通りの会社に入ったはずなのに、
自分の全く関心のないテリトリーの仕事をいきなり押し付けられたら、困惑するでしょう。
それも多分本好きで、女性のファッションには全く興味も無かったような男性が主人公。
花やリボンが咲き乱れるローティーン向けのファッション雑誌に配属されたわけですから、
見下すとかいう視点ではなく、恐らく、見通しのつかない、わからない異次元の世界です。
確かに主人公の新見君の対応は少々大人げないですし、初めの上から目線が不愉快。
なんとかやり過ごしてしまおうという姿勢はあまり褒められたものではない気がします。
これはピピンのような雑誌を愛読していた方だと、そこで不愉快になってしまいそうです。
でも同じ立場に立ったら、ほとんどの人が似たような対応になっちゃうんじゃないかな。
むしろ仕事は仕事と割り切ってやるだけのことはやろうとするだけましな方かもしれない。
雑誌を愛し、本気で関わっている人たちから様々なことを気づかされていく展開です。
未知の仕事で主人公と同じテンポでピピンの魅力を少しずつ感じていくことができました。
お仕事小説なので、ビジネスの世界で一生懸命仕事をしている人なら、自分と重ねたり、
もう少し上の人なら、自分の若い頃を思い浮かべたりして、楽しめる作品です。
周辺の編集長や副編、メイクさんなど面白く味付けできそうな人たちの印象が薄いことや、
抜群に可愛いティーンモデルにも心揺れず淡々として、魅力度が低い主人公の性格は残念。
でも後半で自分のダメージを隠し、責任を引き受けてやれるだけのことはやろうとします。
ちょっとできすぎの感じもありますが成長物語ですし、良い自覚のエピソードでしょう。
「プリティが多すぎる」大崎梢さんの知られざる女の子雑誌の現場を描くお仕事小説です。
楽天からも購入できます。

「プリティが多すぎる」大崎梢
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文芸誌を希望していた若手編集者が、全くの未知の世界ローティーン向け女の子ファッション雑誌に移動させられての奮闘記という形の連作短編ですね。
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プリティが多すぎる(2012/01)大崎 梢商品詳細を見る
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女の子はPが好き?
感想はこちら⇒くりきんとんのこれ読んだ
プリティが多すぎる(2012/01)大崎 梢
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プリティが多すぎる(2012/01)大崎 梢商品詳細を見る
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PINKでPRETTYな小物が乱立する中で、冷や汗タラタラの男の子—そんなオブジェで構成された表紙が可愛くて購入。...
南吉くん、ピピンの編集の仕事に「目覚める」というよりは、自分から少しだけ「歩み寄る」という形でしたね。
ティーン雑誌作りの世界が垣間見れてよかったです。
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