不安と期待をもって降りたった異国の旅先で、
母を見舞い、消灯時間が過ぎたあとの病室で、
夜を徹して友と語り合った夏の林間学校で……
夜はときとして、私たちがひとりであることを思い出させる――傑作エッセイ!
初めて足を踏み入れた異国の日暮れ、夢中で友と語り明かした夏の林間学校、
終電後ひと目逢いたくて飛ばすタクシー、消灯後の母の病室…
夜という時間は、私たちに気づかせる。
自分が何も持っていなくて、ひとりぼっちであることを―。
記憶のなかにぽつんと灯る忘れがたいひとときを描いた名エッセイ。
今回は夜と旅からの連想、回想をメインテーマにしているエッセイ集です。
遠い異国の幻想的な風景だけでなく、どことも知れぬ日本の地方都市から自分の家まで。
その視線を通せば、全てが心に響く紀行文となってしまうことに驚きます。
角田光代さんが描く旅の描写から、読み手の心の中で美しく鮮やかに再現される映像。
名もない小さな駅の始発前の風景さえも、見事に心に映ってくるのはすごいです。
「幾千の夜、昨日の月」角田光代さんのイマジネーション喚起力を再確認する一冊です。
楽天からも購入できます。

「幾千の夜、昨日の月」角田光代
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このエッセイの中に“眠れない人”というフレーズがあって、私のことだ!と思いました。
ここでいう眠れない人、とは不眠症の人ではなく
飛行機に乗ったときに眠れない人、です。 ...
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