戯作仕立てで謎を解くニューヒーロー誕生! 著者の新感覚時代ミステリー。
お江戸のベストセラー作家の正体は、イケメン旗本だった――!?
暇を持てあますお殿様、高屋彦四郎、通称種彦さんは、腕っぷしは弱いけど、
趣味人としてたいそう名高い粋な御仁。
ある時、調子に乗って狂歌連で披露したお話が、強欲だけど目利きな版元・
山青堂の目にとまり、戯作者デビューしないかとスカウトされちゃって!
版元の山青堂です。超超超目利きな、今で言う編集者です。
旗本のお殿様・高屋彦四郎様(通称彦さん)を戯作者にスカウトしたのは、このあたし。
最初は渋っていたけど、彦さん、どんどん戯作の虜になっていきました。
けど、人の心を強く動かすものには、お上が目をつけるのが世のならい。
命をおびやかされるかもしれぬ。しかし、戯作を止められないのだ。
なんて、かっこいいこと言ってる場合じゃありませんから、彦さん。
はて、この顛末や如何に!?―
お江戸の大ベストセラー作家の正体は、イケメン旗本だった!?
「しゃばけ」シリーズ著者によるニューヒーロー誕生。
身に降り掛かる災難、巻き込まれる騒動を戯作にして謎を解いていく彦四郎の物語。
新しいタイプのミステリー。出世意欲のない愛妻家の武家、彦さんが主人公です。
畠中恵さんの物語の主人公は病弱だったり、柔和だったり、どこか頼りなげなのが特徴。
決してスーパーヒーローではなく、頭の切れや心配りが素晴らしい人物が多いです。
今回も見た目は申し分ない旗本の殿様なのですが、
小普請組でお役目はなく身体も弱く、からっきしの腕っ節。取り得は愛妻家。
そんな彦さんが版元の山青堂さんにそそのかされ、戯作者になってしまいます。
書いた物語が原因になったり、旗本が戯作者になったことが原因で起こる災難や騒動。
それらを戯作を作るという方法で解決していきます。登場人物の個性が見事です。
魅力的な主役の回りを固めるのは「狸」の山青堂。殿様にも遠慮のない中間・善太。
現代と違って、報道や出版に関してはあらゆる規制があって息苦しさもある時代。
命がけで文を書いたり絵を描いたりしていたという江戸時代の大変さも伝わってきます。
そんな時代に武家でありながら戯作者になってしまった彦さんが面白いです。
その、あたふたしながらも呑気なキャラクターに引き込まれました。
彦さんの戲作といった想像上で進行する謎解きも無理なく自然に受け入れられました。
「けさくしゃ」畠中恵さんの、程よいテンポの展開も心地いい面白い時代小説です。
楽天からも購入できます。

「けさくしゃ」畠中恵
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