私は愛能う限り、娘を大切に育ててきました。
「これが書けたら、作家を辞めてもいい。そう思いながら書いた小説です」著者入魂の、書き下ろし長編。持つものと持たないもの。欲するものと欲さないもの。二種類の女性、母と娘。高台にある美しい家。暗闇の中で求めていた無償の愛、温もり。ないけれどある、あるけれどない。私は母の分身なのだから。母の願いだったから。心を込めて。私は愛能う限り、娘を大切に育ててきました──。そしてその日、起こったこと―。それをめぐる記録と記憶、そして探索の物語。
湊かなえさんの作品は読みやすく、一気に物語に引き込まれます。
一つの出来事を「母」の言葉と「娘」の言葉で語り継ぎ、真相を明らかにしていく手法。
これは湊かなえさんの得意とするところで、読み手をぐいぐい引きずり込んでいきます。
母子関係の難しさ、恐ろしさを感じ、ゾッとするところもありました。
この母は決して悪い母ではないのです。でも母よりも娘としての自我が勝ってしまう。
今の時代、未熟な母親が多すぎると思っていましたが、このような気持ちの行き違い、
大人になっても気持ちは子供のままで自分の事を分かっていない人もいると知りました。
私たちの周りに沢山いそうで何かを掛け間違うと、こんな悲劇に遭遇するかも。
その身近さが恐ろしいです。でも最後の娘の言葉に安堵しました。
私の母も子育てに一生懸命な良い母親と思います。愛情を受けていたと思うし好きな方。
でも実際の母と娘でないとわからない、微妙な関係もあるという気がします。
人の心の機微や奥深さの表現はいつもどおり素晴らしいです。
湊かなえさんは意識してもすれ違ってしまう「母娘」で上手に物語を作ったと思います。
母性って複雑だなぁとあらためて感じました。
「母性」湊かなえさん自身、母と娘の関係で何か葛藤があるのでしょうね。
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「母性」湊かなえ
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母性 湊かなえ
新潮社
2013.2.13
第一章 厳粛なとき
母性について 母の手記 娘の回想 *リルケの詩
第二章 立像の歌
母性について 母の手記 娘の回想 *リルケの詩
第三章 嘆き
母性について 母の手記 娘の回想 *リルケの詩
第四章 ああ 涙でいっぱいのひとよ
母性について 母の手記 娘の回想 *リルケの詩
第五章 涙の壷
母...
湊かなえ著 2012年新潮社刊行 以下の6章+終章から構成される。 第一章 厳粛な時 第ニ章 立像の歌 第三章 嘆き 第四章 ああ 涙でいっぱいのひとよ 第五章 涙の壺 第六章 来るがいい 最後の苦痛よ 終章 愛の歌 “母性”について描いているんだろうけど、誰ひとりとして共感
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