絶賛された受賞作に、著者の最新最高の作品を合わせた花束のような短編集!
空港の国際線到着ロビーを舞台に、渦のように生まれるドラマを、
軽やかにすくい取り、「人生の意味を感得させる」、
「偶然のぬくもりがながく心に残る」などと絶賛された、川端賞受賞作。
恋の始まりと終わり、その思いがけなさを鮮やかに描く「寝室」など、
美しい文章で、なつかしく色濃い時間を切り取る魅惑の6篇。
川端康成文学賞を受賞した表題作を含む六篇を収めた短編集です。
年齢、性別、国籍を超えたさまざまな人間模様を表現した表題作「犬とハモニカ」。
これは「アジアの文学者とのセッション」という企画から書かれたものです。
江國香織さんは日本の国際空港を舞台に選び、人々の他愛のない交錯を描いています。
基本的に通り過ぎる場所、ターミナル。国際空港であれば、過ぎ去る人々も足早。
そこでの交錯を切り取る、江國さんの瞬間への深いまなざしが印象的です。
国際空港の匂いへの感覚、事件らしいことは起きなくても物語を成立させてしまう筆致。
登場する人物の胸の内も様々。ささやかでもそれぞれの「ドラマ」があります。
ロビーで交わされる会話。高揚も不安もやがて日常の中で霧散していくのでしょう。
そうした時間を拾い上げて、心の中に響かせる力が感じられます。
登場人物たちのそれぞれの一瞬の交錯は、読後も余韻を残し続けています。
他に、源氏物語の現代語訳「夕顔」も読みやすく、全編の訳を読みたくなりました。
この短編集は「犬とハモニカ」「寝室」「おそ夏のゆうぐれ」
「ピクニック」「夕顔」「アレンテージョ」を収録。
「犬とハモニカ」江國香織さんの美しい文章が堪能できる短編集です。
楽天からも購入できます。

「犬とハモニカ」江國香織
- http://1iki.blog19.fc2.com/tb.php/2329-c6d22299
トラックバック
9日~11日。 もの凄く久しぶりに読む江國さん。 そして短編集。 空港の国際線到着ロビーが舞台の表題作「犬とハモニカ」は、 川畑康成文学賞受賞作なだけあって、 日常を描いているんだけど、でもちょっと不思議な感じ。 そして暖かい気持ちになれるものだった。 そ…
犬とハモニカ(2012/09/28)江國 香織商品詳細を見る
旅をする?
感想はこちら⇒くりきんとんのこれ読んだ
第38回川端康成文学賞受賞作。著者の作品を多く読んでいるわけではなく、2冊目か3冊目かもしれない。「冷静と情熱のあいだ」とか。
登場人物が少なく、その人間同士の間の様 ...
コメントの投稿