生れるより先に死んでしまった子に名前などつけてはいけない。
過去からの声があなたを異界へといざなう八つの物語。
日常に形を変えて潜む、過去の恐怖。著者の新境地、泉鏡花賞の傑作短編集。
生まれなかった子が、新たな命を身ごもった母に語りかける。
あたしは、海のそばの「くけど」にいるよ―。
日本の土俗的な物語に宿る残酷と悲しみが、現代に甦る。
闇、前世、道理、因果。近づいてくる身の粟立つような恐怖と、
包み込む慈愛の光。時空を超え女たちの命を描ききる傑作短編集。泉鏡花文学賞受賞。
今までの作品とは全く雰囲気が違っています。八篇を収録した異界に誘う短編集。
何気ない日常の隙間に潜む異世界への入り口。誰でもどこかに隠し持つ心の闇。
それらを偶然、覗いてしまった人々の戸惑いと恐怖が伝わってきました。
過去を背負いながらも生きていく人たち。ある種の恐れとともに描いています。
正体がわからないまま次の話へ進むため、どれもゾクッとするし不安が残ります。
うすら寒い様な気分になってきますが面白いので、途中で本を閉じられなくなりました。
まるで禍々しい異世界が読み手の日常に侵食してくるような独特の作品群。
2013年12月にWOWOWで「かなたの子」ドラマ化。大森立嗣監督。主演は坂井真紀、
共演は井浦新。ほか出演:宮﨑将、満島ひかり、永瀬正敏、藤村志保、吉川麻美。
「かなたの子」角田光代さんは長編だけでなくホラー系の短編も上手で見事です。
収録作:おみちゆき・同窓会・闇の梯子・道理・前世・
わたしとわたしではない女・かなたの子・巡る
楽天からも購入できます。

「かなたの子」角田光代
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奇妙で不可思議な8篇の物語で構成された、幻想怪奇短篇集です。
昔の農村の民俗的な怖さもあれば、現代の痴情のもつれからくる、いかにも世にも奇妙な物語の原作になりそうな話もあり、テーマは一律ではありません。
前から読まなきゃと念掛けてた本だったのですが、やっと読めました。角田光代は、こういうの、他には書いてないと思うのですが、やっぱりプロだなあ、要所々々の話の展開の仕方が巧いわ。この人...
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"過去からの声があなたを異界へといざなう八つの物語"というキャッチから、もう少しホラー&ファンタジー度が強い作品群を期待していたら、そうでもなかった。
どこかで読んだような(聞いたような)話が多いので、もっと作家性を前に出して料理したほうが良かったように思...
多作の著者なので、これが最新の単行本かどうかはチェックしてないけれど、新しい方だと思います。初出は小説誌に連載の短編。角田さん、今回はこっちにスライドしてみせたか、と ...
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