女房のお寿ずと娘のお咲を亡くし、しばらくは魂が抜けたようだった麻之助。
それでも町名主・高橋家の跡取りとして、もめごとの裁定の仕事はしなければなりません――。
そして幼馴染で親友の八木清十郎と相馬吉五郎の絶妙な(?)助けもあって、
少しずつ麻之助は回復してゆくのでした……。
「人が人を、大事だって思う気持ちにつけ込んで、下司なことをするんじゃねえよ」
前作で悲劇に見舞われた麻之助が捨て身で啖呵を切る『朝を覚えず』、
色男の清十郎がすべてを投げ出し、謎の失踪をとげる『たからづくし』、
突然三人の娘から好意を寄せられて困惑する吉五郎を描く『きんこんかん』など、
「まんまこと」シリーズ第四弾の本作には、傑作連作小説六編を収録。
お寿ずの又従姉妹の子で、最近不思議なほどお寿ずと面差しがそっくりになってきた
「おこ乃」の存在感が増しているのも本作の大きな魅力です!
(収録作)『朝を覚えず』『たからづくし』『きんこんかん』『すこたん』『ともすぎ』
『ときぐすり』傷心の麻之助が、復活の時を迎える
表題作「ときぐすり」を含む計六編の連作短編集。
前刊最後の方で、まさかあんな終わり方をするとは予想外でした。
なのでこれから麻之助がどうするか、とても気になっていました。
最初の話で、麻之助はおこ乃ちゃんとまとまるのかもと思いましたがハズレ。
まずは失った悲しみから立ち直る時間が必要みたいですね。
清十郎、吉五郎とのやりとりが麻之助の回復に一役も二役も買っています。
今回から吉五郎の義父・興味深いキャラ相馬小十郎が登場。増々面白味が増しています。
麻之助は仲のいい親友が二人もいて、そこそこモテている上、家は裕福。
両親健在で、父親の仕事を継ぐことも決まっていて、それなりに適性も持っています。
連れ合いをなくした麻之助、再婚するならお由有さんならいいのになと思います。
でも二人の思いはもう過去のものとなってしまっているみたいですが戻らないのかな。
もう一組、吉五郎は一葉ちゃんと年の離れたいいカップルになりそうと思います。
基本はミステリー方式だけど、最後の一話を除き捕り物もなくて残念です。
「ときぐすり」畠中恵さんの人気シリーズ。新展開に向かう予感。早く次が読みたいです。
楽天からも購入できます。

「ときぐすり」畠中恵
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