「ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫)」三上延

鎌倉の片隅にひっそりと佇むビブリア古書堂。その美しい女店主が帰ってきた。
だが、入院以前とは勝手が違うよう。
店内で古書と悪戦苦闘する無骨な青年の存在に、
戸惑いつつもひそかに目を細めるのだった。
変わらないことも一つある―それは持ち主の秘密を抱えて持ち込まれる本。
まるで吸い寄せられるかのように舞い込んでくる古書には、
人の秘密、そして想いがこもっている。
青年とともに彼女はそれをあるときは鋭く、あるときは優しく紐解いていき―。

再読。栞子さんが店に戻り、大輔とお店を切り盛りするといった軸で話が展開します。
本書の中に挿絵は一切ありませんが、表紙と扉イラストが素敵だと思います。
前作の一巻もよかったのですが、個人的には断然この二巻が好きです。
内容は「クラクラ日記」坂口三千代、「時計じかけのオレンジ」アントニイ・バージェス、
「名言随筆 サラリーマン」福田定一、「ＵＴＯＰＩＡ 最後の世界大戦」足塚不二雄。
「時計じかけのオレンジ」はキューブリックの映画を先に観てハヤカワ文庫の旧版を読み、
終章が削られたと訳者解説にありましたが事情は知りませんでした。新版も読みたいです。
古書の話が面白いです。相変わらず栞子さんの本の知識、洞察力は凄まじいです。
「こんな本がこの作者で？」という、まさに古本の醍醐味を前面に持ってきた感じです。
売りに来た人の趣味や部屋の間取りなどを、本の査定でぴたりと言い当ててしまいます。
これはシャーロック・ホームズが依頼人を見ただけでその人物像を当ててしまう手法。
助手の大輔がワトソンさながら、目をぱちくりしている様が微笑ましいです。
ジャンルとしては推理要素もあるキャラクターもの恋愛ものと考えればスッキリ。
引っ込み思案の栞子さんが必死に大輔に仕事を教えている場面などにも好感が持てました。
キャラの過去を提示しつつ、今の二人の関係がそれにより深まっていくのもよかった。
この二巻で二人の距離もぐっと近づき、これからの恋愛関係も気になるところ。
次はどんな本の話で、どんな人間関係が展開されていくのか。楽しみにしてました。
「ビブリア古書堂の事件手帖２栞子さんと謎めく日常」三上延さんのあたたかい雰囲気が好きです。

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