不意の再会で人生が思わぬ方向へ…
社会の「かくあるべし」を質してきた著者の真骨頂。
30代の選択を描き〈生活〉の意味を問う長篇。
不意の出会いはありうべき未来を変えてしまうのか。
ふつうの家庭、すこやかなる恋人、まっとうな母親像…
「かくあるべし」からはみ出した30代の選択は。最新長篇小説。
いわゆる世間一般の「ふつう」とはかけ離れた3人の登場人物。
世話をしてくれる男性と長続きしない母親・直子。いい加減だが騙すことはない息子の智。
ふたりとも疑問をはさまずに生きている、そんな母子の存在がベースになっています。
幼い頃、智と一緒に住んでいて、母子との関わりがあり、後に智の妻となる泰子。
「ふつう」でない育ち方をしてギリギリより下で生きている30代男女の唐突な再会。
母子を不幸の素と認識しながらもその不幸を受け入れ、そばに置いてしまう。
転がり出す二人の人生が周囲の人を巻き込み様々な人間模様を見せて行く。
自分の身近にもいませんし、ここまで気ままな人々もそういないと思います。
現実離れした生活を送る、ひょっとしたらいるかもしれないと思わせる人たちの物語です。
心地よい気持ちにはなれませんが何故か先が気になって読み続けてしまう魅力があります。
感動出来る類の小説ではないけれど、人間模様の面白さを感じました。
それぞれの登場人物の設定がしっかりしていて、その心理描写も巧みです。
流されているようでも自分の意思がないわけではなく、選択と決断は自分でしていくこと。
「どんなふうにしたって切り抜けられるもんなんだよ、なんとでもなるもんなんだよ。」
誰にも頼らずに自分で生きていける。そういう女性の強さも描かれています。
「月と雷」角田光代さんの出自と人生に向き合う物語。原点に戻った感じで大好きです。
楽天からも購入できます。

「月と雷」角田光代
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不意の出会いはありうべき未来を変えてしまうのか。
ふつうの家庭、すこやかなる恋人、まっとうな母親像…
「かくあるべし」からはみ出した30代の選択は。
最新長篇小説。 内容(「BOOK」データベースより)
父がふいに連れてきた新しい母親、直子と連れ子の智。
学校に行かなくても、おやつだけを食べていても、...
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