ニューヨーク、タイ、ポルトガル、モロッコ、ミャンマー、モンゴル、キューバ…
味わい深い、人と事件とモノ語り。ベストセラー作家が描く旅&モノの極上エッセイ集。
旅、日常が新鮮に愛おしくなる角田マジック
●アジアは水で、ヨーロッパは石なのだ
●旅の疲れは移動の疲れと言うよりも、野生の本能を始終使っている疲れなんだろう
●7月のあたまにセールなんてするなら、金輪際、5月6月に夏物なんて買わないからな!
●じつは若いときからずっとサザエの母、磯野フネに憧れていた。
●毎日仕事中、ほとんど負け戦ながらチョコ衝動と闘い続けている。・・・・いずれも本文より。
「旅」と「モノ」について、作者ならではの視点、本音が満載の1冊。
読み進めていくと「どうして私の気持ちがここにあるんだろう」
とびっくりするほど共感するとともに、新鮮な奥深い視点をそこかしこに感じます。
そして読後は、心がほっこり癒されます。
--子どもの心で、子どもの財布での旅しか、私はずっとできないのかもしれない。
それが、私の作り上げてきた私に相応な「分」なのだろう。
最近、そういうことがだんだん受け入れられるようになってきた。
開きなおりではない。あんまりかっこよくない自分を、
許すことができるようになってきた--あとがきより。
身近に感じられる思いをたくさん紡ぐことによって、
一冊を読み終わる頃には日々暮らすことを愛おしむ気持ちがじわっとわいてきます。
【編集担当からのおすすめ情報】
旅の途中で、通勤電車の中で、疲れて帰ってきた夜に、旅先で寛いでいるときに…。
大人気作家、角田光代さんの言葉は、面白くてしゃれっ気たっぷり、いきいきと心に届きます。
意外にお茶目でひょうきんな一面も。
難しいことは忘れてゆるーく楽しめる、そして、ハッとさせられる奥深さもある友達のような一冊です。
JCBのプレミアムカード会員誌「THE GOLD」で
2008年4月号から2011年4月号まで連載したエッセイを収録しています。
旅好きとして知られ、エッセイも多い角田光代さんの旅をメインテーマとしたエッセイ集。
20代からバックパックひとつを背負って一人で世界中を旅してきた角田光代さん。
直木賞作家であると同時に稀代の旅のエキスパートでもあります。
角田光代さんの旅のエッセイは小説と違って、読むと軽やかですが中身が感じられます。
それは長いこと独りで旅をしてきた時間と経験が土台にあるからでしょう。
前半が旅のエッセイ、後半は買い物。「旅」と「モノ」と2つのテーマに分かれています。
買い物にまつわる後者の半分くらいも、実際は「旅」絡みなので、
タイトルの「世界中で迷子になって」で違和感のないエッセイ集となっていました。
旅自慢も私自慢もなく、むしろ謙虚な姿勢で旅の面白さや自身の経験を伝えています。
旅好きのエッセイストといえば、開高健さんや沢木耕太郎さんが思い浮かびますが、
ハードルが低いことで、旅を知らない者にもゆるく旅へと誘う扉を開いていると思います。
等身大の実体験から浮かび上がってくる共感の持てる生き方と感じ方。
心に伝わる笑いや温かいラストで、始めから締めくくりまで気分よく読めました。
あえて「世界中で迷子になって」角田光代さんの良く出来たエッセイ集です。
楽天からも購入できます。

「世界中で迷子になって」角田光代
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