世界には物語があふれている―
「見ている風景は、誰も似たようなものだわ。
そこから何を見つけるかは、あなたの心しだい……」
どんな時代にも、どんな場所でも、映画や本のような作られた世界のなかでも、
自由自在に行き来できる「旅行者(トラベラー)」である少年が、
白馬とともに旅する世界をそれぞれ「箱庭」に見立て、短篇の名手が物語を紡ぐ。
国道四号を悠々と歩きつづけるゾウ(「誰もゾウにはかなわない」)、
夕暮れの車窓から見えるオレンジ色の旗(「黄昏の旗」)、
ジェフじいさんが壊した機械人形(「ヴォッコ3710」)、
幽体離脱して好きな女性の危機を救った男(「人間ボート、あるいは水平移動の夜」)、
アンデス山中で見たファニカの正体(「ひとりぼっちのファニカ」)、
最果ての岬に響く哀調に満ちたバイオリンの音(「傷心の竜のためのバイオリンソナタ」)、
真っ白な水着を着た僕たちの女神(「三十年前の夏休み」)などなど。
笑いあり、涙あり、恐怖あり……直木賞作家が贈る、ちょっと不思議で懐かしい連作短篇集。
「箱庭旅団」シリーズ短編集第二弾。前作の白馬の少年が今回も様々な世界に出没します。
この少年が登場しない話がいっぱいあり、あまりうまく関係していない気がします。
少年が見ている設定かもしれませんが、「箱庭旅団」の枠組みが必要なのか少し疑問です。
「アタシたちのステキな家」 住むと人格が変わる家が笑える怪異譚になっています。
「誰もゾウにはかなわない」「未来人のビストロ」こういう心温まる不思議話が好きです。
表題作「黄昏の旗」は物哀しく、ちょっと怖い都会派の怪談といった感じでした。
「黄昏の旗」朱川湊人さんらしい、時空を超える不思議で懐かしい多彩な短編集です。
楽天からも購入できます。

「黄昏の旗」朱川湊人
- http://1iki.blog19.fc2.com/tb.php/2409-660cf8f3
トラックバック
コメントの投稿