黒人の少女クローディアが語る、ある友だちの悲劇―。
マリゴールドの花が咲かなかった秋、クローディアの友だち、
青い目にあこがれていたピコーラはみごもった。妊娠させたのはピコーラの父親。
そこに至るまでの黒人社会の男たちと女たち、大人たちと子供たちの物語を、
野性的な魅惑にみちた筆で描く。
白人のさだめた価値観を問い直した、記念すべきデビュー作。
今日、2015年3月13日(金曜日)放送のNHKの「あさイチ」のプレミアムトークでゲストの、
直木賞作家の西加奈子さんが紹介していた本です。「青い眼が欲しい」についての話。
「この本を読むまでは、先生にこれが常識ですと言われたら、
“はいそうですか”と受け入れる普通の生徒でしたが、
この本を読んでから初めて“どうして?”と思う気持ちが生まれた気がします。」
「残酷な描写がたくさんありますが、その残酷さに至るまでの道筋をきちんと書かれています。
今までは残酷な事件などがあっても“もうなんなん?許されへん”で終わってましたが、
“どうして彼はこんなことしたんだろう”と初めて思うようになった。
それにより世の中の気になること苦しいことに目をつぶってはいけないと
自分に思い聞かせるようなった。」と話しました。
私物の「青い眼がほしい」は何度も読み返し、人におすすめしてあげたりしたため、
現在五代目とのこと。感じ入った場所には線が引かれていました。
黒人の間でさえ最も肌が黒いために一番蔑視されているフリーダ。
彼女は白人の女の子の家を訪れたとき、白い肌に金髪、青い目の人形を見つけます。
壊れそうなあばら屋の自分の家とは違い、白人の女の子の部屋は夢のように素敵。
そこで衝撃的なシーン。彼女は衝動的に人形をはさみで切り刻みます。
「みんながきれいと言っているものの正体は何なの?」と問いかけてくるのです。
人種問題が絡んで重いのですが「女性の真の美しさとは何か」を問う物語でもあります。
持っていないことの悩みや憧れ、うらやましさを表しているようなタイトルとは裏腹に、
貧困の中を雑草のようにたくましく生き抜いてゆく主人公の生き様。
彼女の姿は人種問題の深刻なアメリカで強く生きる作者自身に重なって胸が熱くなります。
「女性の真の美しさ」について考えてみるいい機会を与えてくれると思いました。
「青い眼がほしい」トニ・モリスンは黒人女性初のノーベル賞受賞者です。
楽天からも購入できます。

「青い眼がほしい」トニ・モリスン
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