取り戻そうと思えば、いつでも取り返せる――闇の扉を開く新しい長編。
いい匂い。あの街の夕方の匂い――
人生の黄昏時を迎え、一人で暮らす雛子の元を訪れる様々な人々。
息子たちと幸福な家族、怪しげな隣室の男と友人たち、
そして誰よりも言葉を交わすある大切な人。
人々の秘密が解かれる時、雛子の謎も解かれてゆく。
人と人との関わりの不思議さ、切なさと歓びを芳しく描き上げる
暗闇から掬い上げられる、全く新しい長編。
記憶と愛を巡る物語。
54歳で高齢者用マンションに1人で暮らしている雛子。
彼女を取り巻いている人々が、読み進めるうちにはっきりしてきます。
衝撃の過去をもった人、ふわふわと生きている人、現実にいそうな人。
過去を忘れるのか、忘れないのか、ただひたすら今を生きるのか、さまざまです。
味わいがあるひとりひとり。登場人物が少しずつ繋がっていきます。
どの人も現実離れしてみえるのに、会っていたような近い心理的感覚をうけます。
まったく違う人生を歩きながらも、人はどこかで繋がっていると思える物語。
何気ない日常の描写が、江國香織さんの手を通すと生き生きとしてくるから不思議。
あまりにフラットな小説なので、起承転結を求める人には退屈な本かもしれないです。
正に物語は江國ワールド。この物語はフィーリングを味わうのがいいのでしょう。
「ちょうちんそで」江國香織さんの記憶と愛をめぐる、とても不思議で切ない物語。

楽天からも購入できます。

「ちょうちんそで」江國香織
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江國香織の作品をそろそろ読むのをやめようと思っていた。
不倫や恋愛の話が、ここのところ、おそらく「東京タワー」を過ぎたあたりから生々しくなってしまって。
というよ ...
2013年19冊目に読み終わった本。
『ちょうちんそで』江國香織
高齢者用のマンションに暮らす50代の雛子。
行方不明になり何十年も会っていない架空の妹と話しながら暮らしている。
わたしは独り言も言わないし架空の人と話したりしないけれど、なんだかよくわかるような気がする。
とても静かで繊細な世界。
帯や商品説明には「謎が解かれていく」と書いてあるのですが、...
取り戻そうと思えば、いつでも取り返せる――闇の扉を開く新しい長編。いい匂い。あの街の夕方の匂い――人生の黄昏時を迎え、一人で暮らす雛子の元を訪れる様々な人々。息子たちと幸福な家族、怪しげな隣室の男と友人たち、そして誰よりも言葉を交わすある大切な人。人々の秘密が解かれる時、雛子の謎も解かれてゆく。人と人との関わりの不思議さ、切なさと歓びを芳しく描き上げる長編。記憶と愛を巡る物語。
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