本は、開くとき、読んでいるときばかりではなく、選んでいるときからもう、しあわせをくれるのだ。
まるで旅みたい。読書という幸福な時間をたっぷりつめこんだエッセイ集。
読書名人・角田さんの、濃厚な読書エッセイ
『私たちには物語がある』につづく〈本をめぐるエッセイ集〉第2弾!
宮沢賢治、ヘミングウェイ、開高健、池澤夏樹などの古典的な名作から現代作品まで、
延べ80冊におよぶ本にまつわるエッセイがつまっています。
1 文庫本と私/冬の光(宮沢賢治の童話)/なんて明るい小説なんだろう(太宰治『斜陽』)‥‥
2 食べることの壮絶(開高健『最後の晩餐』)/
小説は世界を超えることができるのか(池澤夏樹『光の指で触れよ』)/
もんのすごくかわいい(佐野洋子『コッコロから』‥‥
3 生きていくのに必要なもの(よしもとばなな『どんぐり姉妹』)/
恋のようなものと、ほんものの恋(佐藤多佳子『黄色い目の魚』)‥‥
4 私に向かって投げられたボール(伊集院静『ぼくのボールが君に届けば』/
「私」になるための決意(沢木耕太郎『あなたがいる場所』)/
まっとうに生きるとはどういうことなのか(ヒキタクニオ『角』)‥‥
5 忌野中毒(忌野清志郎『忌野旅日記』)/
私たちの知らない世界(大竹伸朗『カスバの男 モロッコ旅日記』)/
ああなんて、楽なのだろう(酒井順子『29歳(ニジュク)と30歳(サンジュウ)のあいだには』)‥‥
角田光代さんが2006年頃から2013年まで解説を担当したさまざまな本を語ります。
敬愛する作家の著書は特に掘り下げています。丁寧な視点で書いているのが特徴です。
特に、開高健さんや忌野清志郎さんに対しては解説に留まらない書評集です。
本に対する愛情が深いです。人物像が生き生きとしていて、浮かび上がってくるようです。
既読の本でも「そういう感じ方もあるんだ」と知って再読したくなりました。
読んだことのない作家さんの本へ誘われているようです。読みたい本が増えました。
「ポケットに物語を入れて」角田光代さんの多彩な読書範囲に感謝したいです。

楽天からも購入できます。

「ポケットに物語を入れて」角田光代
コメントの投稿