著者が10年ぶりに世に問う、衝撃の恋愛小説!
でも、でもね、逢えてよかった……
突然の、胸の高鳴り。
年齢のくびきを越えて燃え上がる
鮮烈な愛と性
孤独と自由を謳歌する、国際的なドキュメンタリー作家・伊奈笙子、69歳。
秒刻みのスケジュールに追われる、大企業のトップマネジメント・九鬼兼太、58歳。
激動する世界情勢と日本経済、混沌とするメディア界の最前線に身を置く二人が、
偶然、隣り合わせたパリ行きのファーストクラスで、ふと交わした『プラハの春』
の思い出話……。それがすべての始まりだった。
容赦なく過ぎゆく時に抗う最後の恋。
愛着、束縛、執念……男女間のあらゆる感情を
呑み込みながら謳い上げる人生賛歌。
執筆4年、書き下ろし文芸大作!
今朝のNHKの情報番組あさイチのプレミアムトークのゲストは女優の岸惠子さんでした。
年齢に改めて仰天です。番組の中で朗読の様子がありましたが、この本です。
人生の先輩方のお伽噺なのか、若輩者にはまだ理解出来ないリアルな大人の恋物語なのか。
戸惑いながら読み進めるうちに、知性を秘めた情熱的な文章に引き込まれました。
登場人物の教養に裏打ちされた会話も新鮮に感じられて楽しかったです。
大人の女の恋を描きます。人を好きになることに年齢は関係ないんだと改めて思いました。
そこには女の過去・歩んできた生き方が大きくその恋愛に影響するのですね。
主人公・伊奈笙子の今を形作っているの誇り高さが何より新鮮です。
恋の始まりの甘やかなシーンであっても、些細なきっかけで発動するプライドの高さ。
自制していても、とても惹かれている相手であっても嫌悪感を覚えたりする気持ち。
その笙子の感性がこれまでの小説で読んだことのないようなものだと思いました。
心と頭の中を互いに強く想像して、言葉も表情も仕草も選び抜き、接する成熟した男女。
笙子の過剰な繊細さが、読み進むにつれてだんだん愛おしくなります。
いつも最初で最後のように切実な恋。すごい熱量で慎重に間の距離を近づけていきます。
恋の一番スリリングで目が離せない、素敵な瞬間が連なっていました。
繊細で頭のいい二人なのに、わりなく理性を手放すときのなすすべのなさ。
読んでいる自分の心もどこかへ運ばれるようです。映像を見てるようで季節を感じました。
思慮や内省の深化が極まると、人間ってこんなに無垢に見えるのだなあと驚きました。
映画を1本見たような気持ちになりました。最後は感動に包まれて読み終えました。
素敵な小説でした。こういう小説が日本人にもついに書けたかと興味深かったです。
お「わりなき恋」岸惠子さんは憧れのマダムです。読み終えるのを惜しく思いました。

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「わりなき恋」岸惠子
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