八田泳、高校一年生。そこそこ裕福でいわゆる幸せな家庭の息子。帰宅部。唯一の趣味はサーフィン。
なりたいタイプの大人がいないのが悩みだが、サーフィンをしている間だけは全て忘れられる。
凪のように平坦な生活に自分を持て余している。
だがそんな矢先、泳は製薬会社に勤める叔父がブラジル奥地へ行くと知らされた。
さらにアマゾン川の逆流現象、終わらない波・ポロロッカの存在を知りアマゾン行きを決意する。
小さな一滴が大きな波紋を生んでいく、泳の成長を鮮やかに描き出す等身大の成長物語。青春大河小説。
海外経験が価値観を変えた、という物語は余り好みではなかったのでスルーしていました。
この本は、今時の若者らしく要領よく淡々としていた語り口で、すんなり読めました。
八田泳が素直で率直な主人公だったので、気になる前に物語に没入できた感じです。
少年の揺れ動く心を描く成長物語です。
高校一年生が経験する日常というものは大なり小なりあっても、いずれもアドベンチャー。
「平凡な日常と非現実的な出来事との境界線はいとも簡単に越えられる」がメッセージ。
物語を通して絶えず読み手の心へ直接的に語りかけてくれているようでした。
日常の延長線上にある非日常の経験が、ワクワク感に満ちたものになったのは予想外です。
アマゾン川は川幅が最大で500キロとも言われます。ポロロッカはその大河の逆流現象。
その冒険を八田泳の大人へのステップと共に表現しています。バランス感覚が絶妙です。
読んでいて感じられる「夢は語れば加速する」というメッセージが心地良かったです。
押し付けではなく、「社会勉強」部分も「負」のみを強調する訳ではなかったです。
良い悪いじゃなくて、こういう現実もあることを提示していたので、好感が持てました。
参考文献はザ・ハイロウズ「胸がドキドキ」。著者の楽曲への想いが筆力に感じられます。
とてもいい本を読むことができました。ぜひ皆さんにも読んで欲しいです。
「大きな音が聞こえるか」坂木司さんの胸がドキドキする気持ちを呼び起こしてくれる本。

「大きな音が聞こえるか」坂木司
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大きな音が聞こえるか著者 : 坂木司角川書店(角川グループパブリッシング)発売日 : 2012-12-01ブクログでレビューを見る»泳の周りの大人がみんな素敵(*^_^*)坂木さんってむちゃくちゃ?な中にも芯が通ってる話を書くな
ブラジルへ行って、ポロロッカに乗る。 今を抜け出そうともがく、青春物語。 小さなうねりが、大きな動きとなる。 そんな物語でした。 金銭的にも物理的にも、親におんぶにだっこで守られながら、「腐りたくない
経済的に恵まれた高校生が、アマゾンの終わらない波に乗る物語。小生意気な主人公が大人になっていくお話しで、王道と言えば王道なんだけど、この手の青春ものを読むたびに後悔ばかりしていた。でも主人公の言う成りたくない大人に成った自分を見ていると、逆に何かを見つけなきゃと思えるようになったな。
大きな音が聞こえるか坂木司角川書店(角川グループパブリッシング)発売日:2012-12-01ブクログでレビューを見る»
私のおすすめ度 ★★★★★ 面白いし、為にもなる。娘にも勧めたい
坂木さんの作品は大体読んでいますが、たぶん一番の長編でした。500ページ超!分厚い!でも、途中で用事があったので中断しましたが、一気読みに近い形でした。主人公はサーフィンの好きな高校生。終わらない波(ポロ...
八田泳、高校一年生。そこそこ裕福でいわゆる幸せな家庭の息子。帰宅部。唯一の趣味はサーフィン。なりたいタイプの大人がいないのが悩みだが、サーフィンをしている間だけは全て忘れられる。凪のように平坦な生活に自分を持て余している。だがそんな矢先、泳は製薬会社に勤める叔父がブラジル奥地へ行くと知らされた。さらにアマゾン川の逆流現象、終わらない波・ポロロッカの存在を知りアマゾン行きを決意する。小さな一滴...
いろいろなジャンルの作品を読んでらっしゃいますね。
これから参考にさせていただきますね(*^_^*)