幼い少女ふたりの邂逅。
過酷な生き方を余儀なくされた思春期少女たちは、もがきながら互いを希求し続け…。
切ない欲望が交差する、ふたりのビルディングスロマン。百合長編小説。
読む前から期待していました。読後も期待を裏切らない素晴らしいものでした。
タイトルと表紙だけみると軽めの百合のように受け取りがちですが、結構重さもあります。
オビに甘くて苦いとありますけど、それ以上の毒も少し含んでいました。
女の子同士が求めあうことを、自然なものと感じることのできた小説でした。
無理矢理のシチュエーションもなく、百合ものに馴染んでいなくても読みやすかったです。
性別に関係なく人と人がひかれあうこと、生きていくうえでの人間関係の摩擦。
それらを、しっかりととらえて書かれているのがわかります。
生々しく情け容赦なく襲い掛かる世間と現実の冷たさ。それ故に甘く尊い、二人の愛情。
理不尽な状況に翻弄されても泥臭く自分なりに愛を掴み取っていくのが宮木作品の醍醐味。
夢を叶えるためには何かしらの武器が必要なことなど、様々な教訓を伝えてくれます。
サブキャラの数と出番も多く、いい意味で予想を裏切る驚きの展開で最後まで楽しめます。
マイノリティだけでなく社会の歪みなども描かれていて、よく一冊に詰め込めたものです。
こんなに詰め込んでも粗雑にならず、切替がスムーズなためかサクサク読めました。
一難去ってまた一難、その後の最高の愛。文章表現も感動的によく表現されていました。
表紙も、表紙をはずしてみても、どちらでも素敵なデザインになっている本です。
ロクロイチさんの挿絵が無いのは残念ですが、情景を想像しやすく読みやすかったです。
脳裏に、すっきりとした笑顔の、二人のウェディングドレス姿が浮かびました。
幸せな結末が好きなので、ハッピーエンドに向かうこの話は素晴らしかったです。
絶望の中でつかんだ最高の幸せ。実によくできている小説だと深く感じます。
読後のじんわりとした幸福感。心から幸せになれて、とてもすっきりしました。
ファンの方はもちろん、表紙でピンときた方!間違いなく面白いですよ、おすすめです。
「あまいゆびさき」宮木あや子さんの面白くて素晴らしい百合長編小説です。


楽天からも購入できます。


「あまいゆびさき」宮木あや子
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発売したのは今年の4月半ばで、面白いという評判は聞いていたものの積んでいたんですよね。でやっと読んだのですが…なんでこんな作品積んでたんですか、俺は。百合姫ノベルから出 ...
という訳で、遂に宮木あや子先生、渾身の百合小説本“あまいゆびさき”が発売された訳ですが、みなさんゲットはされましたでしょーか??
もうこれはね・・・百合を愛する人なら ...
あまいゆびさき (Yuri‐Hime Novel)
幼い少女ふたりの邂逅。過酷な生き方を余儀なくされた思春期少女たちは、もがきながら互いを希求し続け…。切ない欲望が交差する、ふたりのビルディングスロマン。百合長編小説。
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