珍しい古書に関係する、特別な相談―謎めいた依頼に、
ビブリア古書堂の二人は鎌倉の雪ノ下へ向かう。
その古い家には驚くべきものが待っていた。
稀代の探偵、推理小説作家江戸川乱歩の膨大なコレクション。
それを譲る代わりに、ある人物が残した精巧な金庫を開けてほしいと持ち主は言う。
金庫の謎には乱歩作品を取り巻く人々の数奇な人生が絡んでいた。
そして、迷宮のように深まる謎はあの人物までも引き寄せる。
美しき女店主とその母、謎解きは二人の知恵比べの様相を呈してくるのだが――。
全体的にゆったりした時間で進んでいくので、読むのがいつも楽しみなシリーズです。
本に対しての気持ちや思い出を反芻させる事が多く、いつも頭の中は忙しいです。
ビブリアシリーズ初の長編です。作中通してずっと江戸川乱歩のことが語られます。
作品は江戸川乱歩の「孤島の鬼」「少年探偵団」「押絵と旅する男」の三冊です。
前三作のイメージから、かなり印象が変わったような気がしました。
今までは複数の本についての短編が合わさって一つの話になっているような感じでした。
今作は乱歩一色です。江戸川乱歩にはまった人、乱歩好きにはたまらないことでしょう。
これまでは純文学関連の本と謎が多かったせいか、出てきたのは割とマニアックな書籍。
今回は耳馴染みのある作品が多く、乱歩に関する謎解きは新鮮で親近感がわきました。
長編になっただけに、それぞれの登場人物がしっかり描かれているのがよくわかります。
今回の謎は、とある人物の子供の頃に夢中になった思いや夢が鍵となっています。
特に厳格な教育者の故人を蒐集した古書から推測して結果に持ち込んでゆく一連の流れ。
まさにこの古書堂ならではの展開の仕方でした。とても楽しく読めました。
誰もが複数の顔を持つから乱歩の怪人二十面相は時代を超えて愛されていると思います。
静かで緩やかな流れが基調の前三作と異なりミステリアスでスリリングな場面が一杯です。
10年前、唐突に居なくなったビブリア古書堂の元店主、栞子さんの母親が登場します。
姿形は栞子さんと瓜二つ、声も注意しないと聞き分けられないぐらい似ています。
この母は智恵子さんといいます。江戸川乱歩のコレクションを狙って現れたのです。
登場人物も増え、駆け引きもありトリックやミステリーの要素が強い感じです。
こうした変化については面白いと感じつつ、前の雰囲気も良かったと思えたりもします。
栞子さんの母親が古書を訪ねる旅に誘う場面、一声で我に戻る描写がドラマチックです。
映画のワンシーンのような記述でした。とても良く練られた作品だなぁと感心しました。
栞子さんの母親が登場したことで、ビブリアシリーズの謎も少しずつ進展しています。
あとがきによると「物語もそろそろ後半」だそうです。ますます展開から目が離せません。
次はどんな雰囲気の作品になるのか楽しみです。とてもおすすめのシリーズです。
ぜひ、この丁寧な作り込みと素晴らしい展開の作品を手に取ってもらいたいと思います。
「ビブリア古書堂の事件手帖4」三上延さん、大輔の最後の勇気の行方が気になります。

楽天からも購入できます。

「ビブリア古書堂の事件手帖4栞子さんと二つの顔」三上延
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三上 延「ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~」
物語上はまだ平成二十三年四月。東日本大震災の翌月。
遂に大輔と栞子の前に姿を見せる母、篠川智恵子。
いやあ、懐かしいなー。ヒッターも小学生のころ、江戸川乱歩の少年探偵団シリーズや、ポプラ社のアルセーヌ・ルパンを集めておりました。
従姉妹がシャーロック・ホームズを集めていて、交換して読んだりしたものです...
今回は江戸川乱歩関連の謎。
『ビブリア古書堂の事件手帖』の4巻を読み始めた。もちろん世間で評判になっていたのは知っていたのだが生来の天の邪鬼が邪魔をしてなかなか手を出せずにいた。
『ハルさん』の時にも書いたが元々日常の謎系のミステリーには興味があった。だから、この『ビブリア古書堂の事件手帖』だけではなく最近出始めているそのテの作品も読みたいと思っている。
さて、今回の『ビブ...
ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)(2013/02/22)三上延商品詳細を見る
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26日~27日。 4作目のビブリアは、江戸川乱歩を取り上げたシリーズ初の長編。 でも、相変わらず、その江戸川乱歩を読んだことが無くても 読みやすく面白く読むことができる。 今回は、あんまり栞子さんにイライラすることもなく・・・(^_^;) 物語は、東日本大震災…
本日は雨の札幌。ひと雨ごとに秋が深まっていくのが実感できます。そして近づく冬の足音。怖いな~怖いな~と、怪談を語っている稲川淳二みたくなってしまいます。
本日は三上延の「ビブリア古書堂の事件手帖4~栞子さんと二つの顔~」です。タイトルのとおりビブリア古書堂シリーズの第四弾ですが、初の長編となっています。
例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。
...
ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)(2013/02/22)三上延商品詳細を見る
栞子の母、とうとう登場!?
感想はこちら⇒くりきんとんのこれ読んだ
「ビブリア~」シリーズの第4巻、「ビブリア古書堂の事件手帖4 〜栞子さんと二つの顔〜」を昨晩読了。
せっかく前巻でなりを潜めていた、青年(ワトスン)の女性店主(ホームズ)礼賛が復活。「ちょっとした事から、こんな推理を展開して真実を見抜くなんてすごい!」を連発して、うっとうしい。そんなことをいちいち書かなくていい。興ざめだ。
さて、ストーリー的には店主の母親が登場する...
~北鎌倉駅近くにぽつんとたたずむ【ビブリア古書堂】
古書とそれに携わる人々のお話パート4~
【ビブリア古書堂の事件手帖4~栞子さんと二つの顔~】 三上 延 著
【ビブリア古書堂】・・・
本の知識はピカイチ!本の話をすると止まらないでも・・人見知りの店主・篠川栞子
あるきっかけからここでアルバイトをすることになった五浦大輔
本の話をしたい人間とそれを聞きたい人間
...
三上延 「ビブリア古書堂の事件手帖4」 栞子さんと二つの顔
ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)(2013/02/22)三上延商品詳細を見る
古書堂の栞子さんが、古書から謎を解く人気シリーズ第4弾です。
今回は、ついに栞子さんの母親である智恵子が登場し、ヒトリ書房との過去の出来事などが描かれます。
江戸川乱歩に関して知らなかったこと...
●本日の読書
・「ビブリア古書堂の事件手帖4」三上延/メディアワークス文庫
うーわーすっげー久し振りに本読んだー。丁度原作が月九でドラマ化されて毎週「違う、栞子さんは違うっ!」とテレビの前で叫び続けていたわたくしが、最新四巻の読書感想文を書きますよ。因みに原作の栞子さんとドラマの栞子さんの違いは以下です。
(原作)黒髪ロングヘアー(ドラマ)ショートヘア
(原作)黒縁眼鏡...
ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)(2013/02/22)三上延商品詳細を見る
珍しい古書に関係する、特別な相談――謎めいた依頼に、ビブリア古書堂の二人は鎌倉の雪ノ下へ向かう。その古い家には驚くべきものが待っていた。
稀代の探偵、推理小説作家江戸川乱歩の膨大なコレクション。それを譲る代わりに、ある人物が残した精巧な金庫を開けてほしいと持ち主は言う...
愛にあふれる感想でまた読み返したくなりました。
それと、申し訳ありませんが、まったく別の記事(5巻の感想の記事)をトラックバックしてしまいました。
削除していただけたら幸いです。
ちゃんと4巻の感想記事にトラックバックはしてあります。ご確認ください。