田口&白鳥シリーズ最終巻! 大人気の医療エンターテインメント、いよいよ完結。
「東城大学病院とケルベロスの塔を破壊する」――東城大学病院に送られてきた脅迫状。
高階病院長は、院内の厄介事を一手に引き受ける愚痴外来の田口医師に、犯人を突き止めるよう依頼した。
厚生労働省のロジカル・モンスター白鳥の部下、姫宮からアドバイスを得て、調査を始めた田口。
警察、医療事故被害者の会、内科学会、法医学会など、様々な人間の思惑が交錯するなか、
エーアイセンター設立の日、何かが起きる!?
このシリーズの主な語り手、愚痴外来の田口医師は新設されるAiセンター長に就任。
その元へ、デビュー作から連なる小説群、通称桜宮サーガに登場した人物が集まります。
ドタバタエンタメの衣を被りつつ、久しぶりに登場する個性的な面々に再会するのです。
完結編としての期待が大きかったせいか、ちょっと慌しいなと思える内容でしたが、
相変わらずのハイテンションに煽られる感じでどんどんと読み進んでしまいます。
ただ、これまでの経過を除いて、この作品のみで十分に楽しめるかというと難しそうです。
ほぼ全作既読でしたから唐突な登場人物の名前やエピソードを何とか思い出せました。
少ししか読んでいない人や本作が海堂尊さん初読みの人は、かなりつらいと思います。
特に「螺鈿迷宮」「ブラックペアン1988」の事件が大きなキー・ファクターです。
密接に繋がっているだけに、単独の作品としては成立するのが困難と言えそうです。
今回はすごく小ネタですが、このシリーズ特有のどんでん返しもしっかりありました。
どんでん返しがあると、ああこのシリーズらしいと思えて笑みがこぼれます。
最終巻とのことですが完結というより東城大学病院と桜宮一族の最終対決という感じです。
それだけに、オールキャストで、しかも壮絶な終わり方で、読み物としては満足しました。
悲劇的な結末。それでも、東城大学病院の話のラストとしては、良かったと思います。
難解な用語、多勢の登場人物、Ai、どんでん返し等で、シリーズを総括したようでした。
田口と白鳥のコンビによる、このシリーズは一応完結。全体を通して楽しめました。
完結編として色々な謎がこの巻で回収されるのかなと期待して読んでいたのですが、
逆に色々、伏線ばかり残してゆくような、これまでありえない形の小説になっています。
田口白鳥シリーズとしては最終巻になるのでしょうが、謎を残したままなのです。
桜宮サーガ自体は終わらない、という形での一応の幕引きでしょうか。
著者の日本の現状の医療体制を憂う真摯な想いは相変わらずビンビンと伝わってきます。
完結編と言いながらもAiシステムの推進は、氏のライフワークに違いないので、
新たなキャラクターを立ち上げて新シリーズが始まるに違いないと確信しています。
映画も、限られた時間内に原作のエッセンスを凝縮した秀作といえる出来栄えでした。
小説だけでなく現実世界でもAiが進み死因不明問題が少しでも解決されることを願います。
「ケルベロスの肖像」海堂尊さん、完結編ですが今後の展開が楽しみです。


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「ケルベロスの肖像」海堂尊
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