製鏡所の娘が願う亡き人との再会。少年が抱える切ない空想。姉弟の哀しみを知る月の兎。
曼珠沙華が語る夫の過去。少女が見る奇妙なサソリの夢。老夫婦に届いた絵葉書の謎。
ほんの小さな行為で、世界は変わってしまった。それでも―。
六つの世界が呼応し合い、眩しく美しい光を放つ。まだ誰も見たことのない群像劇。
・第一章 やさしい風の道
・第二章 きえない花の声
・第三章 たゆたう海の月
・第四章 つめたい夏の針
・第五章 かそけき星の影
・第六章 鏡の花
六章で構成した連作の群像劇。三組の家族が登場します。愛する者の不慮の死がテーマです。
章によって死ぬ人が違います。不慮の死を遂げた人が、別の章では生きていたりします。
パラレルワールド設定の意図が通じない読者の場合、混乱したまま読み終えそうで心配です。
著者の近著は、物語を通して読者に光を示し、背中を押してくれることが多い気がします。
いつのまにか自力で前に進み出せるような、優しく強い力を受け取り歩き始められるような。
振り返れば、亡くなってしまった人は強烈な印象を残して誰かの心の中で生きています。
逆にいつも近くにいる人は薄い印象で、毎日の暮らしの中に溶けこんでしまいがちです。
もしあの人がいればと思っても、それが実現すると色褪せてしまうのなのかもしれないです。
そう考えるとパラレルワールドを通じて、今が幸せなんだと気づかせてもらった気がします。
今回は特に、登場人物の目に映った情景描写や心理の描写がとっても細やかで印象的でした。
行間から風の動きや心の揺らぎすらも手に取るように伝わってくるのはすごいと思います。
「鏡の花」道尾秀介さんだからこそのお話で、他の作家さんでは読めない独特の物語です。

楽天からも購入できます。

「鏡の花」道尾秀介
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「やさしい風の道」「きえない花の声」「たゆたう海の月」「つめたい夏の針」「かそけき星の影」「鏡の花」の6編。 前の章で亡くなっていた人物が、次の章では生きていたり。 登場人物は共通なのに、必ず誰かが失われた、パラレルワールドたち。 もしもあのとき、違った選択をしていたら? 失った人を思う、残された人々の痛み。 それぞれ、感じるものがあるお話でした。 ただ、どう考えてもバラバラの世界なので、こ...
【楽天ブックスならいつでも送料無料】鏡の花 [ 道尾秀介 ]価格:1,728円(税込、送料込)少年が抱える切ない空想、曼珠沙華が語る夫の過去。老夫婦に届いた
絵葉書の謎、少女が見る奇妙なサソリの夢。姉弟の哀しみを知る月の兎、
製鏡所の娘が願う亡き人との再会。
ほんの小さな行為で、世界は変わってしまった。それでもーー。
六つの世界が呼応し合い、眩しく美しい光を放つ。
まだ誰も見た...
「道尾秀介」の連作小説『鏡の花』を読みました。
[鏡の花]
「道尾秀介」作品は今年2月に読んだ『貘の檻』以来ですね。
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もしも大切な人がいなかったら、どんな人生を送るのか?
身近な誰かが欠けてしまったパラレルな六つの世界が呼応し合い、眩しく美しい光を放つ。
緻密な構成が輝く、著者渾身の意欲作。
少年が解き明かそうとする姉の秘密、曼珠沙華が物...
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