幼い頃に家族を火事で失い天涯孤独の身となった木山慎一郎は友人も恋人もなく、
自動車塗装工として黙々と働くだけの日々を送っていた。
だが突然「他人の死の運命」を視る力を手に入れ、生活は一変する。
はじめて女性と愛し合うことを知った慎一郎の「死の迫る人を救いたい」という思いは、
無情にも彼を窮地へと追いやり…。
生死を賭けた衝撃のラストに心震える、愛と運命の物語。
ある日、他人の死の運命が見えるようになった主人公の木山が終盤まで悩む葛藤の物語。
死の前兆がわかる特殊な能力に気がつき、何人かを不慮の事故から救う不器用な木山慎一郎。
しかし人命を救うことによって自分の体が蝕まれ命を削られるという、逃れようのない事実。
伊坂幸太郎作品の能力に真保裕一作品の小役人シリーズの真摯さを合わせた様な印象です。
死ぬ人やその周りの人の悲しみや辛さ、その未来を考えて自分の命を引き換えにできるのか。
自分の寿命を縮めることになる運命を視ないこととして、自分のために生きていけるのか。
突きつけられると答えようがないような、深い命題が織り込まれていて読み応えがあります。
そしてラストは今までの葛藤を振り切るような、あっさりとした思考と行動。
人は悩んだ時期が長く苦しくても覚悟や結論に至った時の決断はあっさりしているもの。
特殊能力を持つ責任を全うする覚悟が決まる瞬間、行動の瞬間がリアルで生々しいです。
逃げようと思えれば逃げられたはずです。目を背けようと思ったらそうできたはずです。
彼女もできて仕事も好調なのに。今の私にもし同じ能力があったら命を差し出せるのか。
主人公の木山の純粋な思いが伝わってきて、とても魅力的な作品でした。
最後に明かされるヒロイン葵の心情も考えさせられるものがありました。
読んでる時よりも読み終わった後にいろいろ考えさせられてしまう作品だと思います。
「フォルトゥナの瞳」百田尚樹さんの切ない終わり方に命の使い道を考えさせられます。

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「フォルトゥナの瞳」百田尚樹
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フォルトゥナの瞳 - 4~9日。 読みやすいんだけど、内容がツラくて なかなか読み進めれなかった。 幼いころに両親と妹を亡くした木山慎一郎には、友人も恋人もなく、 ただ一日中、車のボディコーティングをする毎日。 そんな慎一郎は、仕事で疲れて帰る電車の中で、 …
フォルトゥナの瞳(2014/09/26)百田 尚樹商品詳細を見る
こんな能力は、私は要らないなぁ
乾燥はこちら⇒くりきんとんのこれ読んだ
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こんな能力は、私は要らないなぁ
感想はこちら⇒くりきんとんのこれ読んだ
作家さんの名前で借りてきた1冊。まず間違いなく面白く読めるでしょう、と。
予想に違わず、面白かった。以前読んだ、同じ百田さんの「プリズム」(感想文は►コチラ)と、物語の雰囲気がよく似ているように思いました。主人公があれこれ思い悩みながら話が進んでいく、というところが。
「百田尚樹」の長篇作品『フォルトゥナの瞳』を読みました… ジャンル的にはSFかな。
[フォルトゥナの瞳]
『カエルの楽園』に続き、「百田尚樹」作品です。
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男には「他人の死の運命」が視えた。
生死を賭けた男の選択に涙する、愛と運命の物語。
幼い頃に家族を火事で失い天涯孤独の身となった「木山慎一郎」は友人も恋人もなく、自動車塗装(コーティング...
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