珈琲の味は、いまひとつ。でも推理にかけては一級品。
古都・鎌倉でひっそりと営業する古民家風喫茶「一服堂」。
エプロンドレス姿の美人店主は、恥ずかしがり屋で人見知り。
しかし、事件となるとガラリと人が変わってしまう。
動機には一切興味がない安楽椅子型の名探偵が
「春」「夏」「秋」「冬」の4つの事件を鮮やかに解く、連作シリーズ!
目次・春の十字架/もっとも猟奇的な夏/切りとられた死体の秋/バラバラ死体と密室の冬
東川篤哉さんのいつもの雰囲気そのままの、リラックスできる語り口の短編集です。
キャラ立ちが特徴の東川さんの作品の中でも、かなり強めにキャラ作りをしている感じ。
この設定・テイストであれば、ほのぼの日常の謎ネタになりそうなものですが、それを外して
今回は全てバラバラ殺人ネタです。いわば、ほのぼの猟奇殺人連作短編集と言えそうです。
猟奇殺人で安楽椅子探偵もの。そこに本格ミステリー作家としての意地を感じますが、
事件が派手な割に、これまでの作品の中でトリックは最もレベルが低い印象があります。
「切りとられた死体の秋」はミステリー好きなら途中ですぐにわかる鉄板のトリックで、
このトリックにしたのは、ミステリー初心者の読者が多いと思ったから?とも感じます。
「バラバラ死体と密室の冬」も物理的密室と心理的密室という密室の不可能要素を合わせた、
高度な密室事件という設定はいいのですが、肝心のトリックは小学生が考えたような脆さ。
読みやすく退屈はしないのですが本格ミステリー短編集としての出来は良くない気がします。
最後にちょっと叙述トリック的な、全体を通しての仕掛けで一矢報いた感じでした。
『純喫茶「一服堂」の四季』東川篤哉さんのリーダビリティーの高さはわかる短編集です。

楽天からも購入できます。

『純喫茶「一服堂」の四季』東川篤哉
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純喫茶「一服堂」の四季 東川篤哉
珈琲の味は、いまひとつ。でも推理にかけては一級品。人見知りの美人店主は、安楽椅子名探偵。「春」「夏」「秋」「冬」の事件を描く傑作推理短編集!(BOOKデータベースより)
【目次】春の十字架/もっとも猟奇的な夏/切りとられた死体の秋/バラバラ死体と密室の冬
まぁ東川さんかなーと。
おふざけとロジカルが合わさって、ブレンドして、一服堂...
東川 篤哉著『純喫茶「一服堂」の四季』読了 表紙のデザインに惹かれて手にとった本。 ミステリー短篇集。 殺されて十字架みたいにくくられる被害者とか、手足などをバラバラされた被害者などが出てくる殺人事件を純喫茶の女主人が謎解きをする。 殺人事件自体が淡々と語られたり、純喫茶の女主人が接客が苦手だったりとギャップが有るところをうまく使って話を面白くしているのだろう。確かに面白かった。読みやすかったので
古い二階建ての木造和風建築家屋で
一見喫茶店とはみえない純喫茶「一服堂」
中に入ると昭和初期にタイムスリップしたかのような
レトロな雰囲気で、カウンタ-には・・
店員と思しきエプロン姿の女性がいた。
彼女こそ・・
この店のオーナーである”安楽椅子(アンラク ヨリコ)”で
極度の人見知りのため初めてのお客とはうまく会話が出来ずに
...
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