ついにガン予防薬完成! と思ったら……鬼才炸裂のメディカル・エンタメ傑作集!
医学とは悪食の生命体である――夢の新薬開発をめぐる大騒動の顛末を描く表題作ほか、
完全な健康体を作り出す国家プロジェクトに選ばれた男の悲喜劇を綴る「健康増進モデル事業」、
医療が自由化された日本の病院の有様をシニカルに描く「ランクA病院の愉悦」など、
奇想の中に医療の未来を映し出す海堂ワールドの新機軸!
「小説新潮」や「小説現代」掲載。医療に関わる近未来的な題材を扱った五編の短編集です。
長編小説では医療制度への強烈な批判と個性的なキャラクターが特徴の海堂尊作品ですが、
短編集ということで長編ほど深く掘り下げることはありませんでしたが、短編も魅力的です。
過去の短編で次の長編に関する予告や仕掛けをしていたことがあり予備知識になるかもです。
「健康増進モデル事業」国家プロジェクトに選ばれ、完全な健康体になってゆく木佐の悲劇。
「緑剥樹の下で」内戦で疲弊した国で非科学的な習慣と対峙する主人公を追う物悲しい作品。
「ガンコロリン」癌の画期的抑制治療薬に関わる悲喜こもごもとドタバタに、20年後の悲劇。
「被災地の空へ」大地震が発生した都市への緊急医療を意気込む医師と実際のギャップ。
「ランクA病院の愉悦」TPP導入で自由診療に。最低のランクCと最高のランクAの格差と実情。
これまでの作品からサンザシ薬品や桜宮市とかが出てきます。知らなくても読める内容です。
「緑剥樹の下で」90年代三部作で登場した医師、渡海のアフリカ奮闘記で楽しめました。
大変な地域で活動するこの作品が次の長編になれば、かなり楽しいかもと期待させられます。
「被災地の空へ」ジェネラルルージュ速水の奮戦記。災害救助の難しさを医師の側から描写。
自然災害で批判されることがある救助。マニュアルだけの不十分さを鋭く描いています。
ちょっとSF的な要素のあるドタバタ劇の「健康増進モデル事業」「ガンコロリン」、
かなり真面目な「緑剥樹の下で」「被災地の空へ」と異なる物語が読めて面白かったです。
「ガンコロリン」海堂尊さんの長編とは違う味わいの、どれも楽しめる短編集です。

楽天からも購入できます。

「ガンコロリン」海堂尊
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ついにガン予防薬完成! と思ったら……鬼才炸裂のメディカル・エンタメ傑作集! 医学とは悪食の生命体である――夢の新薬開発をめぐる大騒動の顛末を描く表題作ほか、完全な健康体を作り出す国家プロジェクトに選ばれた男の悲喜劇を綴る「健康増進モデル事業」、医療が自由化された日本の病院の有様をシニカルに描く「ランクA病院の愉悦」など、奇想の中に医療の未来を映し出す海堂ワールドの新機軸!「小説新潮」や「小...
ガンコロリン 海堂尊
新潮社
2014.1.21
健康増進モデル事業
緑剥樹の下で
ガンコロリン
被災地の空へ
ランクA病院の愉悦
◇ 健康増進モデル事業
星新一的ショートショート。
白鳥圭輔が出てくるから、てっきり長いお話かと思ったら、
独立した短編集ですね。
海堂尊にどこから取りかかっていいかわからない人におススメ
厚労省の久光穣治って、誰だ...
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