首折り男は首を折り、黒澤は物を盗み、小説家は物語を紡ぎ、あなたはこの本を貪り読む。
胸元えぐる豪速球から消える魔球まで、出し惜しみなく投じられた「ネタ」の数々!
「首折り男」に驚嘆し、「恋」に惑って「怪談」に震え「合コン」では泣き笑い。
黒澤を「悪意」が襲い、「クワガタ」は覗き見され、父は子のため「復讐者」になる。
技巧と趣向が奇跡的に融合した七つの物語を収める、贅沢すぎる連作集。
「首折り男の周辺」「濡れ衣の話」「僕の舟」「人間らしく」「月曜日から逃げろ」
「相談役の話」「合コンの話」の7つの短編を練り直した連作短編集です。
表題から「首折り男」を主人公とした連作短編ミステリ集を想像すると読み間違います。
もともと各編の発表雑誌、執筆依頼や内容が関連していなかった短編を再構成したものです。
いわば連作に作り変えた寄せ木細工の様な体裁ですが、それでも3編に「首折り男」が登場。
別の3編に馴染みの黒澤が狂言回し役として登場して、短編間の関連を強めています。
キャラクター同士の会話の繋がりから話が進む作風は変わらずお見事で読み進みやすいです。
人の役にたちたい病の首折り男、探偵の黒澤、クワガタの飼育に夢中の物書きの窪田など、
個性的な登場人物がいくつかの短編に再登場するため、不思議な交差を感じられます。
ユーモラスな設定で繰り広げるエピソード。たぶん全体のテーマは人生におけるバランス。
クワガタ好きの黒澤の友人、窪田の言葉を借りれば「神の手によるバランス」でしょう。
「人間らしく」「月曜日から逃げろ」「相談役の話」、どれも意地悪な悪役に罰が下ります。
時として人生には様々な苦しみや重荷が発生しますが、それでもバランスを取るかの様に、
楽しみや思いがけない嬉しいハプニングもあるという事を静かに主張している感じでした。
ありえない、もし、あったらすごいと思う偶然が重なったりする内容の「僕の舟」などは、
黒澤のキャラクターもあって、無理のないハートウォーミングな話に仕上がっています。
男女3対3の「合コンの話」は、ドキュメンタリーのように合コンの様子を淡々と描きつつ、
他愛のない会話に交えて、心理的な側面が詳細に描かれていたのは新鮮な驚きでした。
特に事件でもないのに引き込まれて、自分もその場にいるかのような臨場感がありました。
「首折り男のための協奏曲」伊坂幸太郎さんの伊坂ワールドを存分に楽しめる連作短編集。

楽天からも購入できます。

「首折り男のための協奏曲」伊坂幸太郎
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いま、ちびちび読んでる本。
全部読み終わるのがもったいないなあと。
ちょっと物騒なタイトルの協奏曲。
でも本当に音楽みたいなつくりの話。
「首折り男」に度肝を抜かれ、「初恋」に惑って「怪談」に震え、
「昆虫」は覗き見され、「合コン」では泣き笑い。
「悪意」が黒澤を襲い、父は子のため「復讐者」となる―全7編、
胸元えぐる豪速球から消える魔球まで
出し惜しみなく投じられた「ネタ」のアンサンブル!
内容(「BOOK」データベースより)
繋がっている ”ぽい” 短編集。
本書はもともと独立していた話を『緩やかに繋...
5日~11日。 わりと私の好きなパターンの伊坂作品。 今回は、連作なような、連作じゃ無いような短編集。 でもあとがきを読んで納得。 あちこちで書いた短編を並べて加筆してるのね。 そのわりには見事に繋がっているかも! タイトル通り、人の首を折って殺す首折り男…
伊坂ワールドだね
感想はこちら⇒くりきんとんのこれ読んだ
伊坂幸太郎著「首折り男のための協奏曲」
首折り男の話から探偵(?)黒澤の話になって、
また、首折り男の話になる…。
いろいろな時間が交差する連作短編集。
第一話「首折り男の周辺」
首折り男に間違われる男の話と、その男を首折り男と思ってしまった夫婦の話、
本物の首折り男と遭遇したいじめられている男子中学生の話が、
交錯しながら展開していく。
幽霊を信じますか?
第...
タッ・・・タイトルが怖くありませんか?
昔の横溝正史さんの本に「病院坂の首くくり(←ここは漢字で)の家」というおどろおどろしい題名がありましたけど、首折り男っていうのも~。
本の方は、私はとても楽しめました。
首折り男のための協奏曲 作者: 伊坂幸太郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2014/01/31 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (22件) を見る 長編でも連作でもないんだけど、ゆる〜く繋がってるあたりが 単なる短編集の枠を越えていて、個人的には心地良かった。 実験
「伊坂幸太郎」の連作短篇作品『首折り男のための協奏曲(英題:a Concerto)』を読みました。
[首折り男のための協奏曲(英題:a Concerto)]
『3652―伊坂幸太郎エッセイ集―』に続き、「伊坂幸太郎」作品です… 先月に読んだ『火星に住むつもりかい?』以来、6作連続で「伊坂幸太郎」作品ですね。
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殺し屋の名は、首折り男。
彼を巡...
トラックバックをありがとうございます。
藍色さんの仰るとおり、僕も「伊坂ワールド」を堪能いたしました。
「バランス」がキーワードも同感です!