円華という若い女性のボディーガードを依頼された元警官の武尾は、
行動を共にするにつれ彼女には不思議な《力》が備わっているのではと、疑いはじめる。
同じ頃、遠く離れた2つの温泉地で硫化水素による死亡事故が起きていた。
検証に赴いた地球化学の研究者・青江は、双方の現場で謎の娘・円華を目撃する――。
価値観をくつがえされる衝撃。物語に翻弄される興奮。
作家デビュー30年、80作目の到達点。
これまでの私の小説をぶっ壊してみたかった。
そしたらこんな作品ができました。 ――東野圭吾
硫化水素による事故死が二か所の温泉で相次ぎ、環境科学者の青江は、
どちらの場所にも現われた少女に不信感を抱きます。
彼女は何者なのか?そして何を探ろうとしているのか?という謎が読者に提示されます。
引き寄せられ、展開がどう進むのか予測できずハラハラ。楽しく最後まで読めました。
途中までは普通のミステリーかなと思っていたのですが、いい意味で裏切られました。
社会問題や心理描写メインの方が好きですが、空想科学ミステリーも作風のひとつでした。
読み進めていく内に意外な事実が明らかになります。SF小説としてなら文句なく面白いです。
予想外の真相を用意しているのがミステリーとするなら、その条件も満たしてはいます。
でも正統なトリックを使ったミステリーと思っていたので、ちょっと欺かれた気がします。
物理的なトリックではなく想像もできなかった謎解きで、導かれるままに読んだ感じです。
それでも、そもそも小説に決まりなどないもの。こんな小説もありかなと納得しました。
結果的に「今まで築いてきた物を壊す」という意気込みの斬新さ、衝撃度に感心です。
リズミカルな文体や不可解な事件に潜む真相がわかる快感は、やはり東野圭吾さんならでは。
真相や動機は確かにユニーク。特殊な「才能」には唸りました。さすが理系作家の着眼点。
最初から、SF+ミステリーだと意識した上で読むなら、十分楽しめる作品でしょう。
東野圭吾さんはSF的な小説も楽しいので、もっと書き続けてほしいと思います。
新しい小説を生み出そうとする東野圭吾さんの創作意欲が伝わってくる作品でした。
「ラプラスの魔女」東野圭吾さんの、題名の由来から博識ということもわかる作品です。

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「ラプラスの魔女」東野圭吾
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東野圭吾作家デビュー30周年記念作品という事で、作者も力の入った作品ということで、今までにないとか今までとは違うというような感じに宣伝文句が入っていたりしますが、力が入っていて面白いというのは確かですが、非常に東野圭吾らしい作品だなというのが感想だったりします。
温泉街で、硫化水素中毒によって男が事故死した。
しかし、偶然事故死したにしては状況が不自然すぎるくらい不自然。
...
ラプラスの魔女 -
こんな能力、欲しくはないよね
感想はこちら⇒くりきんとんのこれ読んだ
ラプラスの魔女 東野圭吾
角川書店
2016.3.10
プロローグ
1
…
40
そーゆーお話だったのかー…
という感じ
気になったのは、
医者である父親が、
甘粕親子には重大な欠陥があるのです
というから、どんな深刻な話かと思いきや、
先天的な父性欠落症
極めて遺伝的
そういう遺伝子を抱えて生まれてきた
などと語らせ、
...
日本のスティーブン・キング
ラプラスの魔女posted with amazlet at 15.09.04東野 圭吾 KADOKAWA/角川書店 (2015-05-15)売り上げランキング: 1,686Amazon.co.jpで詳細を見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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