これが、私の、復讐。私を見下したすべての男と、そして女への――。
一人の美しい大学生の女と、その恋人の指揮者の男。そして彼女の親友の女。
彼らは親密になるほどに、肥大した自意識に縛られ、嫉妬に狂わされていく。
そう、女の美醜は女が決めるから――。
恋に堕ちる愚かさと、恋から拒絶される屈辱感を、息苦しいまでに突きつける。
醜さゆえ、美しさゆえの劣等感をあぶり出した、鬼気迫る書下し長編。
前半の「恋」と後半の「友情」の二部構成です。スムーズで読みやすい文章。
ありがちな恋愛に溺れる様は、まさに盲目的な恋をしている女性の話として受け取れます。
読み応えがあり面白いのですが、これで済まないのが辻村深月さんの作品です。
後半の「友情」で本領発揮。見えないカースト制度によりコンプレックスを持つ女性の感情。
書き起こされていく、ドロドロとした心情は読む人の心に突き刺さり抉る迫力があります。
それは男性には理解できないのかもしれない、女ならわかる嫉妬の感情と言えそうです。
読み流せず、目をそらしたくなるような痛い様を綴った文字を必死に追いかけていました。
普段はあまり同性に敵対心を抱かず、友達ともドロドロせず仲良くできているつもりですが、
恋に盲目になる蘭花の「恋」の気持ちも、他の女に屈辱感を味あわせたいナナコの気持ちも、
友達を独り占めしたい留利絵の「友情」の気持ちも全部理解できてしまう自分というものは、
嫉妬という恐ろしい感情を持っている生き物なんだ、と改めて思い知らされました。
そして最後の最後にあっと言わされるどんでん返し。まさか、とまた騙されてしまいました。
「盲目的な恋と友情」辻村深月さんの、腑に落ちるタイトルと内容の一致に納得です。

楽天からも購入できます。

「盲目的な恋と友情」辻村深月
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盲目的って怖いっ
感想はこちら⇒くりきんとんのこれ読んだ
盲目的な恋と友情 - 11~14日。 辻村さんの作品のわりには怖かった。 まさかの衝撃的なラスト。 盲目的ってこういうこと!? 「恋」と「友情」の2章に分かれているこの作品。 分けてるの?と思いながら読んだけど、 後半の「友情」を読み始めて納得。 一瀬蘭花は…
盲目的な恋と友情 辻村深月
一人の美しい大学生の女と、その恋人の指揮者の男。そして彼女の親友の女。恋にからめとられる愚かさと、恋から拒絶される屈辱感を、息苦しいまでに突きつける。これが、私の、復讐。私を見下したすべての男と、そして女へのー。醜さゆえ、美しさゆえの劣等感をあぶり出した、鬼気迫る書き下し長編。(BOOKデータベースより)
母になった辻村作品は最近エロさも出てき...
盲目的な恋と友情 辻村深月
新潮社
2014.9.8
恋
友情
まず恋の話。
茂実星近(しげみほしちか)と一瀬蘭花(いちのせらんか)。
『恋』を読み終わったところで、『友情』読まなくていいかな、
と思ってしまった
傘沼留利絵(るりえ)側から見たお話が語られるワケでしょ?
留利絵の話には付き合いたくないなぁ…
なので、最後だけ拾い読み。
え?...
著者:辻村深月
盲目的な恋と友情(2014/05/22)辻村 深月商品詳細を見る
一人の美しい女子大生。そんな彼女の恋人で、彼女が所属する大学オケの指揮者。そして、そんな女子大生の友人であり、人間関係にコンプレックスを持つ女。劣等感を抱いた2人の物語……
なるほど、こう来たか……
物語は、タカラジェンヌであった母を持ち、美しい容姿を持つ女子大生・蘭花が、指揮者の男と恋に落ちて...
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