正体不明の“大名"と泣き虫の村名主が江戸を揺るがす難事件に挑む!
若き日に同じ道場に通った貧乏武家の部屋住み・有月と百姓の三男・吉也。
金もなく、家にも町にも居場所がなく、この先どうやって生きていけばいいのかと
悩む日々を共に過ごしてきた。
時は流れ、吉也は東豊島村の村名主となり吉之助と改名。
ある日、大名家へ向かう途中に辻斬りに襲われるが、
「御吉兆ーっ」という鳴き声とともに飛び込んできた白い鶉とその飼い主であるお武家によって命を救われる。
お武家の正体は、十数年ぶりに再会した有月だった。
涼やかな面で切れ者、剣の腕も確かな有月は大名を自称するが、どう見ても怪しく謎めいている。
そんな有月と勇猛果敢な鶉の佐久夜に振り回されながら、吉之助は江戸近隣で相次ぐ豪農不審死事件に巻きこまれていく。
一つ一つの事件を解決するうちに、その背景に蠢く、江戸城を揺るがす恐ろしい陰謀が明らかになり――。
新しい畠中ワールドの幕開けとなる、痛快時代小説の誕生です!
これまでのほかのシリーズのような、引き込まれるような内容とは違いました。とはいえ、
今回のメインキャラクターは妖しでもつくもがみでもなく、白いうずらの佐久夜です。
有月が巾着に入れて持ち歩き、ときどき外に出ては「ぽぽぽ」と鳴き歩いて、
良いことがあると「御吉兆!」と鳴く、通称、巾着うずらの佐久夜が活躍します。
気はいいけどお人好しが畠中恵作品の特徴ですが、吉之助があまりに軟弱ですぐ泣くので
やきもきしつつ、要所要所で活躍する佐久夜に免じて読み進めてしまいます。
それぞれの身分や関わりで起きる、一見ばらばらに見える事件がみんなつながっていて、
事件の真相としては、実はかなり大掛かりなものだったにも関わらず、
読み進めていくにつれて、有月と佐久夜、吉之助のやりとりが微笑ましく感じられて、
こじんまりとした結末に落ち着くことができ、楽しませてもらいました。
舞台は江戸ですが、また新しい登場人物たちで、とても面白かったです。
うずらの佐久夜がとても可愛いくていい感じ。これもシリーズ化して欲しいなぁと思います。
「うずら大名」畠中恵さんの安心して読める、ほっこりできるお江戸の事件物でした。

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「うずら大名」畠中恵
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