この状況で生き抜くか、もしくは、火星にでも行け。希望のない、二択だ。
密告、連行、苛烈な取り調べ。
暴走する公権力、逃げ場のない世界。
しかし、我々はこの社会で生きていくしかない。
孤独なヒーローに希望を託して――。
らしさ満載、破格の娯楽小説!
住人が相互に監視し、密告する。
危険人物とされた人間はギロチンにかけられる―身に覚えがなくとも。
交代制の「安全地区」と、そこに配置される「平和警察」。
この制度が出来て以降、犯罪件数が減っているというが…。
今年安全地区に選ばれた仙台でも、危険人物とされた人間が、ついに刑に処された。
こんな暴挙が許されるのか?
そのとき!全身黒ずくめで、謎の武器を操る「正義の味方」が、平和警察の前に立ちはだかる!
以前からいくつもの作品で、権力が暴走した際の恐ろしさを主張していましたが、
本作ではついに、そうした制度が現実化した社会を描いた、完成型といえる設定です。
平和警察による監視社会の実態を描く第一部、平和警察に反抗する謎の男を描いた第二部、
正義の味方と人助けの教えを描いた第三部、平和警察と正面から激突する第四部。
様々な視点で話が展開されていくため、飽きることなく読み進められました。
行き過ぎた監視社会の怖さ、マスメディアに流される民衆の危うさ、正義と偽善の難しさ、
いささか誇張されている部分もありますが、描写されている空気は結構リアルです。
第二部で真壁鴻一郎が登場するあたりから物語が加速し始めた感じです。
現実世界の不安定さを映し出して、フィクションだけど一貫した世界観でのリアリティ。
緊密に構成されたプロットと、過不足のない達者な文体は、いつも通りの伊坂ワールドです。
正義が悪と戦うという普遍的な構図だけど、立ち上がったヒーローが素晴らしく魅力的。
行動する動機といい、能力の奇妙な痛快さといい、設定がとてもユニークです。
これまでにない新しいタイプのヒーローと言えるでしょう。
敵対する警察側のキャラ造形も秀逸。後半は追う側と追われる側の双方に視点が往復します。
ラスト50ページほどは心臓が鷲掴みにされるような緊迫感。最後まで純粋に楽しめました。
トリック的な要素もあり、どんでん返しもあり、小説でこんなに興奮したのは久しぶりです。
物語を通じて、伊坂幸太郎さんが読者に伝えたいメッセージのようなものも読み取れますし、
実際に考えさせられました。初読みの入門書には難しいかも。ファンはもちろん必読です。
タイトルから火星に住む位の遠い未来のSF小説かと思いましたが、違っていました。
「火星に住むつもりかい」伊坂幸太郎作品の優れた部分が存分に味わえる長編活劇です。

楽天からも購入できます。

「火星に住むつもりかい」伊坂幸太郎
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伊坂幸太郎さんの 『火星に住むつもりかい?』 読了。
火星に住むつもりかい?posted with amazlet at 15.07.02伊坂 幸太郎 光文社 売り上げランキング: 6,537Amazon.co.jpで詳細を見る
犯罪防止としてご近所同士が監視しあい密告するとか
平和警察が罪無き市民を拷問して冤罪なのに公開ギロチン処刑とか
公開処刑を見学しにくる大勢の市民...
火星に住むつもりかい?(2015/02/18)伊坂 幸太郎商品詳細を見る
やっと読み終わったよ
感想はこちら⇒くりきんとんのこれ読んだ
住人が相互に監視し、密告する。
危険人物とされた人間はギロチンにかけられる―身に覚えがなくとも。
交代制の「安全地区」と、そこに配置される「平和警察」。
この制度が出来て以降、犯罪件数が減っているというが…。
今年安全地区に選ばれた仙台でも、危険人物とされた人間が、
ついに刑に処された。こんな暴挙が許されるのか?そのとき!
全身黒ずくめで、謎の武器を操る「正義の味方」が、
平和...
★<5段階評価>
あらすじ(Amazonより)--------------------------
この状況で生き抜くか、もしくは、火星にでも行け。希望のない、二択だ。
密告、連行、苛烈な取り調べ。
暴走する公権力、逃げ場のない世界。
しかし、我々はこの社会で生きていくしかない。
孤独なヒーローに希望を託して――。
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「伊坂幸太郎」の長篇作品『火星に住むつもりかい?(英題:Life On Mars?)』を読みました。
[火星に住むつもりかい?(英題:Life On Mars?)]
「伊坂幸太郎」作品は昨年5月に読んだ『仙台ぐらし』以来なので、ちょっと久しぶりですね。
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この状況で生き抜くか、もしくは、火星にでも行け。
希望のない、二択だ。
「安全地区」に...
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