人生に大逆転はあるのか?
小学生のとき、同じ野球チームだった二人の男。
二十代後半で再会し、一攫千金のチャンスにめぐり合った彼らは、
それぞれの人生を賭けて、世界を揺るがす危険な謎に迫っていく。
東京大空襲の夜、東北の蔵王に墜落したB29と、
公開中止になった幻の映画。そして、迫りくる冷酷非情な破壊者。
すべての謎に答えが出たとき、動き始めたものとは――
現代を代表する人気作家ふたりが、
自らの持てる着想、技術をすべて詰め込んだエンターテイメント大作。
伊坂幸太郎さんの小説はほぼ全て読んでいますが、阿部和重さんの小説は未読です。
お二人の合作ですから従来の伊坂作品とどう雰囲気が違うのか、ちょっと不安でした。
でも心配は杞憂に終わり、500ページを超える大作ですが面白くてとても楽しかったです。
意味深な始まりからエピソードを次々に繰り出す展開に、あっという間に引きこまれました。
会話の楽しさとか数々の伏線とか過去の人間関係や信頼の繋がりとかがつまっている、
いつもの伊坂作品同様の面白さ、いわゆる伊坂テイストは合作でも現れていたと思います。
阿部和重さんの特徴はわからないのですが、普段の伊坂作品と比べて違う箇所を考えると、
バイオレンス描写が濃厚だったり、悪役の団体や陰謀の計画などの現実感が強かったり、
データなどが詳しかったり、野球選手やチーム名が現存していることが目立ったことから、
リアルな感じが大きくて、現実社会との結びつきが強まっている印象です。
ストーリーとしては、巻き込まれ型アクション映画のような展開が繰り広げられます。
無力な小市民が事件に出会い翻弄され、謎の男が現れ、危機に陥り、逃走しながらも、
得体のしれない陰謀に立ち向かうという、まさに王道エンターテインメントな物語です。
戦隊ヒーロー・少年野球・車と、男心に響く要素が一杯なのが男性寄りですが、女性は
可愛く賢いワンちゃんに癒されつつ、相葉&井ノ原のネーミングはジャニーズ五十音順?。
全体をとおして相葉&井ノ原のコンビがホント、すばらしいです。
物語の中心のこの二人の、正反対のキャラクターや、程よい距離感が良いです。会話の
やり取りだけでなく後悔や苛立ち、緊張などがまるで映像を見ているかのように浮かびます。
何度も思い起こされる幼い日々と、歳を重ねた今の現状に悩む姿は強く印象に残ります。
2人の会話がとても自然体で、いくつもの場面の映像がありありと目に浮かびました。
お二人の共作ですが、どこを誰が書いたかわからないくらい統一されています。
疾走感と爽快感があふれていて完全にエンタメに徹していて、とっても読みやすかったです。
全くテンポ感を削がないストーリーも秀逸ですし、登場人物も愛せる人たちが多いです。
スリリングに魅了して読む手が止まらないという、面白さ抜群の名作です。
最後まで謎に引っ張られ、ぐいぐいひきこまれます。エンタメ好きにはぜったいおすすめ。
「キャプテンサンダーボルト」伊坂幸太郎さんと阿部和重さんの最高のエンタメ作品です。

楽天からも購入できます。

「キャプテンサンダーボルト」 阿部和重/伊坂幸太郎
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