「かがやき荘アラサー探偵局」東川篤哉

女子力なんてお呼びじゃないわ。家賃は払えないけど犯人は捕まえるわよ!
西荻窪のシェアハウスでお気楽に暮らす女子三人組が、何の因果か探偵稼業に！？
コスプレ系自称19歳の礼菜、茶髪武闘系の美緒、残念なメガネ美人の葵。
こじらせ女子って一体誰のこと?
今宵も発泡酒片手に、その場しのぎのドタバタ迷推理で、ウチらに解けない謎はない!
イケてない日常を笑い飛ばす、痛快新シリーズ!

タイプが異なるアラサー女性３人と住んでいる家の大家の秘書見習いによる物語です。
家賃を払えないことから探偵まがいの活動をすることになり、事件を解決する４編を収録。
ドタバタや軽妙な掛け合いを中心にした４編で、上手に話が展開されていると思います。
４つとも趣向が異なるストーリーで飽きない展開になっていて、けっこう楽しめます。
ただ、奇妙な方言やコスプレなど、個性的なキャラ作りへの苦労は窺えるのですが、
どれも地に足が着いてない感じで、主役の彼女たちに魅力を感じることが難しかったです。
主人公のキャラが３人もいてさらに男性キャラもいるため、やや散漫な印象もありました。
また依頼者側の女性実業家や、秘書見習いで語り部の青年の指示があって動く展開のため、
どうしても受け身になりがちです。登場が遅いのも影の薄さに繋がっている印象でした。
肝心のミステリについては気になる点もありましたが殺人から日常系までよく練られてます。
大事なユーモアも、ファンにはおなじみのツボはしっかり抑えられていました。
伏線と論理の積み重ねと笑いどころ、期待される部分は概ね満たしているように思います。
ですのでなおさら、ここまで続くキャラ偏重の作風は限界に来ているようにも映ります。
この作品も彼女たちに限らず、ほかのシリーズでも使えそうな雰囲気が感じられます。
幅を広げるのも大事でしょうけど、そろそろ中身で勝負する長篇を期待したいところです。
「かがやき荘アラサー探偵局」東川篤哉さんのそれなりに楽しんで読めるミステリーでした。

かがやき荘アラサー探偵局

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かがやき荘アラサー探偵局 [ 東川 篤哉 ]

「かがやき荘アラサー探偵局」東川篤哉