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愛と推理とガールズトークあふれる<生野エルザ探偵事務所>は、
今日もなんとか(?)営業中!
サブタイトルは平塚おんな探偵の事件簿で、通称ライオンシリーズの3作目です。
4つの事件を収録していて、3つは文芸誌に掲載。1つは書き下ろしです。
まだ言動に違和感があったり、トリックが強引に思えるものだったりもするのですが、
真相が複雑な時系列から浮かび上がる構成や、別の側面から雑談が解決に繋がるなど、
やり取りが中心の物語の結論に至るまでの組み立てと見せ方に工夫を感じられます。
一話完結の短篇集ですが、読み手も推理に参加できるような起伏や展開があります。
事件や犯人を追求もしますが、探偵物語としてのミステリーとしても楽しめる作品です。
解決に見えて実はまだ、という意外性のある構成も、ひとひねりが効いて面白く、
広げた伏線をまとめていく語り口はスマートで、納得できる読後感を残します。
今回、キャラクターの露骨な強調が抑えられたことで、読みやすさにつながったようです。
これまで不協和音のあったエルザ探偵と調教助手、二人の魅力も感じられました。
やっと三作目で修正されてキャラクターと物語が噛み合い出した、という印象です。
「ライオンは仔猫に夢中」東川篤哉さんの続刊が少し楽しみになりました。

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「ライオンは仔猫に夢中」東川篤哉
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平塚おんな探偵の事件簿3になります。
平塚のライオン探偵生野エルザと助手の川島美伽のガールズ探偵ユニットが地元平塚で難事件を解決するという連作短編集、シリーズも3作目という事で過去の事件で関わった人が間接的に関わる事も増えてきたりもあったりしますが、基本東川篤哉のミステリーはネタ要素満載ですので、ミステリーとしての謎解きを楽しむ事はそれはそれであるのですが、それ以上に小ネタを楽しむものとし...
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