楽しさを追求したら、こういう小説になりました。
最新書き下ろし長編は、予測不能の籠城ミステリーです!
仙台の住宅街で発生した人質立てこもり事件。
SITが出動するも、逃亡不可能な状況下、予想外の要求が炸裂する。
息子への、妻への、娘への、オリオン座への(?)愛が交錯し、
事態は思わぬ方向に転がっていく――。
「白兎事件」の全貌を知ることができるのはあなただけ!
伊坂作品初心者から上級者まで没頭度MAX! あの泥棒も登場します。
登場人物が多いので、序盤が少し取っつきにくいのは新機軸かも。さらに
章が変わる度に時間と場面が巧妙に前後し入れ替わるので、時系列を整理するのが大変。
さらにパートごとの語り部とは別に、珍しく、いわゆる『神の視点』からの語りが。
読む側からのツッコミに先回りをしたり、軽い皮肉も口にしてみたりします。
登場人物たちも含め、どこかトボけていたり、洒落た言い回しが著者らしく楽しいです。
白兎は自分の妻がさらわれた事を気に己の本質と向き合っていきます。
誘拐が仕事の主役で悪人ですが、憎めないキャラに仕上がっています。
バイプレイヤーの黒澤の役どころは良い助演というか、裏主人公です。
SITの隊長、夏之目も酷い過去を背負った役回りで、徐々に感動できるキャラです。
読者を騙しつつも、テンポ良く話が展開されます。尻上がりで面白くなっていく感じ。
物語は場面や時間を切り替え、そこへ多くの思惑や出来事が重なっていくのですが、
こうだと思っていたものが実は別で、さらに違うことや別の事へと変わる展開に仰天。
その発想はもちろん、些細なことまで違和感なく物語に落とし込んだことにただ感嘆。
最終的に事件は解決するものの、存在したはずの犯人や被害者、追われていた男など、
全てが…となる結末がまた見事で、魔法のような構成に最後まで驚かされます。
正に伊坂ワールドと呼べる物語で、とっても楽しめました。
伏線の張り方がやっぱり秀逸。期待を裏切らないテンポの良さとユーモアが最高です。
あらゆるやり取りが見逃せず、会話や話の見せ方、そしてクロスオーバ(以上?)と、
帯に謳われているように、ファンはもちろん、初めての方にもおすすめしたい作品です。
伊坂幸太郎作品を読んだことがない人は、ゆっくり読んでみるといい作品と思います。
「ホワイトラビット」伊坂幸太郎さんの進化する伊坂ワールド。読書は楽しいです。

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