「探偵さん、その話、よければ僕に話してくれませんか?」
舞台はドイツ。
探偵カールがクリスマスの夜に出会った、謎の男とは…?
心温まる聖夜の奇跡。
伊坂作品のエッセンスすべてが凝縮された、心温まる物語。
かつての子どもたちへ、これからの大人たちへ。
伊坂幸太郎が贈る聖夜の奇跡の物語
大学生のときに著者が初めて書いた小説
(初出『文藝別冊 伊坂幸太郎』/2010年小社刊)を自身の手により完全リメイク!
デビュー以来の伊坂作品のモチーフ、
「探偵」「男2人」「親子愛」「巧妙な構成」「ラストのどんでん返し」……
などのエッセンスがすべて凝縮された、珠玉の物語。
伊坂作品にはおなじみ、あのキャラクターの元祖とも言える人物も登場。
* * * * *
生まれて初めて完成させた短篇が元となった作品です。 ──── 伊坂幸太郎
お話の最後ではいつも呆然となり、もう一度読み直したい気持ちで
胸がいっぱいになりました。 ──── マヌエーレ・フィオール
* * * * *
*挿絵について*
伊坂さんも注目し、また松本大洋さんら日本の第一線の漫画家も各所で推薦している、
フランスのバンドデシネ作家であるマヌエーレ・フィオールによる描き下ろし!
ストーリーは、主人公が家を飛び出す原因となった少年時代の哀しい思い出話から。
十数年後の今、そこに隠された意外な真実が不思議な男によって解き明かされていきます。
伊坂幸太郎さんが学生の頃に書いた小説を大幅に加筆修正リメイクした作品です。
ですので、現在の大掛かりな伏線などを期待すると肩透かしを受けるかもと思います。
あとがきで“素人時代の習作”とありますが、それを加味しても十分秀作だと思います。
今の伊坂幸太郎作品からは考えにくい、ドイツが舞台。それが逆に面白いです。
伏線の張り方やストーリーの動かし方は若いときから異彩を放っていたのですね。
こうして読むと、やはり伊坂幸太郎作品の魅力は、会話にあるとわかります。
そして場面が複雑に組み重なり、回転するように進むプロットが特徴と思えます。
探偵にしても普通の探偵とは違っていることから、正に原点を感じる作品です。
作者、伊坂幸太郎さん本人はこの作品を『変わっていない』と自分で言っています。
伊坂幸太郎作品を愛する方も、20年前と『変わっていないな』ときっと感じると思います。
18才にしてこのクオリティー。さすが、伊坂幸太郎さんです。
絵本として大切な雰囲気を作ったのは、建築家にしてイラストレーター/漫画家でもある
マヌエーレ・フィオールさんの絵です。ノスタルジックで抒情的で実に素晴らしいです。
大人のくせにもう一度童心に帰って「サンタクロースはいるよね」と信じてみたくなる、
読んだあとは心がほっこりする。そんなクリスマスらしい幻想的で心温まるお話です。
「クリスマスを探偵と」伊坂幸太郎ファンは読み逃しできない一冊です。

楽天からも購入できます。
コメントの投稿