12月25日24時10分から放送されました。シンガーソングライター・小田和正さん主催の、クリスマス恒例のTBSのコラボレーションライブ番組です。昨年は01年の初放送から初めて延期。今年3月に代替特番「風のようにうたが流れていた」が放送されていました。18回目となる今年は、小田さんの地元である神奈川県横浜市の隣、横須賀市にある「横須賀芸術劇場」で開催。会場には3万通を超える応募から選ばれた幸運な1600名が参加。
冒頭、小田さんのツアーではおなじみの「御当地紀行」(ツアーで訪れる各地の映像)で、小田さんが岩手県小岩井駅で小学生と会話を交わすシーンが。「『クリスマスの約束』に出てましたよね?」小学生たちがそう話しながら小田さんに駆け寄ります。ちょっと照れたような小田さんが印象的でした。
ステージにはスキマスイッチ・常田真太郎さん&大橋卓弥さん、いきものがかり・水野良樹さん、清水翔太さん、熊木杏里さん、松崎ナオさん、矢井田瞳さん、JUJUさん、TRICERATOPS・和田唱さん、STARDUST REVUE・根本要さん、KANさんという、錚々たるメンバーが。ゲストアーティスト11人と共に立つステージが赤と緑のクリスマスカラーに染まり「きよしこの夜」のハーモニーが鳴り響きます。続けて「What a Wonderful World」。会場はクリスマスモードに染まります。冬の風物詩といっても過言ではない『クリスマスの約束』の幕開けです。今回のナレーションは松たか子さんが担います。
コマーシャル開けに登場したのは、小田・根本・大橋・常田・水野(敬称略)の5人のメンバーからなる“委員会バンド”(小田さんが命名)。チューリップの名曲「心の旅」をピアノとアコギ3本でカバー(小田さんは手拍子)。彼らは小田さんと共に番組を支え続ける仲間たちです。演奏後、、時が経って自分の歌のような気がする、と小田さんが感慨深く語り、明るいトークに花が咲きます。二曲目は、ふきのとうの楽曲「白い冬」。「風来坊」でなくて、ちょっと残念です。その後、委員会バンドでの新しい曲作りのエピソードも明らかにされます。小田さんの出だしのワン・センテンスから水野さんが制作。一番歌詞にうるさかったのは小田さんで、指示代名詞ににまでこだわっていたと水野さんが話しました。タイトルに悩んでいたことも挟みつつ、そんな中生まれた新曲「愛を何度も」が、この日初披露されました。
舞台中央にグランドピアノ。タイトルは自分で。
番組初登場のKANさんは、クリスマスを意識したことがうかがえる衣装で登場。小田さんのリクエストでKANさんの代表曲「愛は勝つ」を一部サプライズで披露。小田さんが止めに入るという脚本があったそうですが、「なかなか上手くいきませんよ」と笑っていました。KANさんのCDに入っていた曲、「切ない感じがして、いいなぁと思った」という「星屑の帰り道」を演奏。KANさんらしい日常をつづった佳曲でした。
続いて同じく番組初登場の松崎ナオさんは、小田さんが『ドキュメント72時間』(NHK総合)のテーマ曲「川べりの家」で歌声を聞き、出演をオファーしたとのこと。小田さんから「なんとなく縁を感じまして……」と前置き。実は松崎さんの父親は、オフコースが初めて所属した事務所の社長だったという秘話を小田さんが明かして、会場からは驚きの声が上がりました。ちなみに他に加藤和彦、サディスティックミカバンド、かぐや姫、ジローズ(敬称略)などが所属していた可能性のある事務所だったそうです。ものすごい顔ぶれ。母親の影響でオフコースが好きだという松崎ナオさんは、小田さんのリクエストで、オフコース時代に小田さんが発表した♪自分のことしか見えなくなって「誇れるのはたゞ」を披露しました。その後、「川べりの家」を演奏。
続いて、今回で3回目となる和田唱さんとの「ムービーメドレー」。
その前のスポンサー紹介部分で、和田さんに、出演者たちが誕生日を祝福する場面も。小田さんが「君はどうしてそんなに昔の曲をいっぱい、しかも2番の歌詞とか細かいところまで知っているの?」と聞くと、和田さんは「うちのオヤジ(今年亡くなった父親・和田誠さん)が映画が大好きだったから。小さい時に釣りとか登山とかに連れて行ってもらったことはほぼゼロなんですが、その代わり、映画にはたくさん連れて行ってくれて、そのおかげで映画が大好きになりました」と振り返って明かしました。
人気作家の本の装丁やポスター、週刊誌の表紙などさまざまなジャンルで活躍したイラストレーターの和田誠さん(享年83)は今年10月7日に亡くなりました。小田さんは「お父さん、残念だったね。僕は(和田)唱と知り合う前から和田誠さんの絵が好きで、いつか知り合って(CDの)ジャケットを1回描いてくれる機会が来ないかなと思っていました。残念です。ご冥福をお祈りします」と悼みました。
メドレーの披露を前に、和田さんは今回は会場に口笛をレクチャー。曲目は大脱走。場内には思い思いの口笛が響きわたり、口笛の合唱という珍しい光景が広がりました。その後、満を持してメドレーへ。スクリーンには各映画の写真が流れ、映画好きはさらに楽しめる演出。懐かしの映画音楽や松たか子が歌ったあの映画の名曲などで場内が盛り上がります。後ろに座っている出演者たちがノリノリで聞き入っていたのも印象的でした。練習した口笛の合唱も成功しステージと観客が一体になり、10分を超える映画メドレーを完走。最後に二人は固い握手を交わしました。このメドレーの曲目は、追憶「The Way We Were」、トップ・ハット「Cheek to Cheek」、プリティーウーマン「Oh,Pretty Woman」、華麗なる賭け、ゴーストバスターズ、アナと雪の女王「Let It Go」、大脱走、オズの魔法使い「Oevr the Rainbow」。
さらに「今年も出演できて嬉しい」と語ったJUJUさんは、根本さんやスキマスイッチに次いで10回目の出演。デビュー15周年のライブツアーのことなどを語ったJUJUさんは「歌うことがすごく楽しい」と。小田さんとの息もぴったりで聞き応え抜群。矢井田瞳さん、熊木杏里さんもコーラス参加して「Will you love me tomorrow」をしっとりと歌い上げました。
続いて、矢井田瞳さん、熊木杏里さんと共に小田さんらしい、フレンドリーな名曲「今日もどこかで」を披露。これまでの「クリスマスの約束」では、自身の歌は独唱が多かったので、ちょっと意外な選曲。少し前の曲を聴いてホッとするひとときを持てました。
そして最後のパートナーは清水翔太さん。小田さんは今年の8月、ネットで清水さんが「この日のこと」(『クリスマスの約束』のテーマ曲として小田さんが第1回目の開催の時に制作した楽曲)をカバーしているのを見たと言い、「『クリ約』はこの歌で始まったなということを改めて思い出しました。今年はぜひ翔太を呼んで、この曲で締めくくりたいと思いました」と語りました。この曲は当時デビュ一1年目だった清水さんが同番組で歌った曲でもあり、それ以来清水さんの心をずっと支えてきたとのこと。〈その時きっと振り返るだろう 今日という この日のことを〉「アーティスト同士がお互いを認め、愛し、尊敬する」という共通の思いで、まさに原点回帰ともいえる楽曲です。いろんな場面を思い返しながら、しみじみと聞き入っていました。
長時間収録の間、ステージでアーティストとトークをし、歌い続けた72歳の小田さんの体力に、素直に脱帽しました。そして若い世代には聴き馴染みのない昔の曲も、聴きやすいアレンジで披露され、音楽のリレーを繋いでもらったような気持ちがしました。小田さんの変わらない歌声は、いつ聴いても胸を打たれます。小田さんをはじめ豪華アーティストたちが名曲を奏でる『クリスマスの約束』は、今年も、この先振り返りたくなるような、贅沢な一夜でした。
小田和正さんの恒例番組『クリスマスの約束2019・出演者・曲目セットリスト・感想』
- http://1iki.blog19.fc2.com/tb.php/2980-85500d36
トラックバック
コメントの投稿